今回は、外資企業が中国で「設備機械」を購入する際の優遇措置について見ていきます。※製造業やサービス業など、多くの外資企業が進出する中国市場。本連載では、中国ビジネスコンサルタントで、Mizuno Consultancy Holdings Limited代表取締役社長・水野真澄氏の著書、『中国ビジネス投資Q&A』(株式会社チェイス・チャイナ)の中から一部を抜粋し、中国ビジネス展開に関する疑問をQ&A方式を紹介します。

設備機械の「免税措置」が廃止になった理由

Question 設備機械の免税措置

 

中国で設備機械を購入(輸入・国内購入)する場合、優遇措置などはありますか?

 

Point

●2008年末までは、奨励類外資企業が総投資の枠内で輸入する設備、加工貿易企業が輸入する無償提供設備については、関税・増値税が免除されていた。

 

2009年以降は、関税は引続き免除されるが、増値税は輸入段階で課税される様になった。これは、増値税暫定条例の改定により、設備購入に際して支払った増値税の仕入控除・輸出還付が認められる様になったためである。

 

●輸入段階で支払った増値税は、輸入者が増値税の一般納税人であれば仕入控除・輸出還付の対象となるが、加工貿易企業の無償提供設備については、原価として処理する必要がある。

 

これは、無償提供設備の所有権は外国の加工委託者に留保されているため、輸入段階で課税される増値税も、外国企業が負担すべき税金と見なされるためである。

 

Answer

 

1.優遇措置の調整と廃止奨励類

 

外資企業が総投資の枠内で輸入する設備機械、加工貿易企業が輸入する無償提供設備については、関税・増値税が免除されていましたが、2009年1月より、増値税は一律課税される様になりました。

 

制度変更の理由は増値税暫定条例の改定で、これにより従来は認められなかった固定資産購入時の支払い増値税が、仕入控除の対象となり、税コストが回避できる様になったため、併せて免税措置が廃止されたものです。

従来からの「増値税免除措置」と現在の状況

2008年末まで外資企業に認められていた増値税免除措置と現在の状況は、以下の通りです。

 

❶奨励類外資企業が総投資の枠内で輸入する設備の関税・増値税免除措置

 

これは、「国務院の輸入設備税収政策の調整に関する通知(国発[1997]37号)」により認められた措置ですが、「財政部・税関総署・国家税務総局公告2008年第43号」により、2009年月1日に増値税の免除措置は打ち切られました。

 

但し、国発[1997]37号の条件を満たす外資企業については、関税は引続き免除されます。

 

❷加工貿易企業が輸入する無償提供設備

 

無償提供設備とは、加工貿易(来料加工・進料加工)を行うにあたり、外国企業が加工企業に無償で設備機械を貸与する制度です(根拠は上記と同様、国発[1997]37号)。

 

これについても、関税は引続き免除されますが、増値税は輸入時に課税されます。

 

❸奨励類外資企業が購入する新品の国産設備に関する増値税免除措置

 

奨励類外資企業が総投資枠内で購入した新品の国産設備は、増値税が免除されていましたが、「外商投資企業の国産設備購入に関する増値税還付政策の停止について(財税[2008]176号)」に基づいて、2009年1月より、この免除措置が打ち切られました。

本連載は、2017年9月1日刊行の書籍『中国ビジネス投資Q&A』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

中国ビジネス投資Q&A[2017改訂版]

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水野 真澄

チェイス・チャイナ

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