街の診療所は「家族経営」であることが多いが・・・
開業支援コンサルティング、およびクリニックの経営コンサルティングが必要かどうかというのは、人それぞれでしょう。
おそらく20年前、30年前であれば、クリニックの経営コンサルティングというものは、それこそ、薬品卸会社、税理士などが、ビジネス上の付き合いの中で行うもので、あらたまったコンサルティング会社などはほとんどなかったものと思われます。
しかし、昨今、一般の中小企業でも経営コンサルティング会社のお世話になることが多くなり、クリニックに経営コンサルティングが入ることも少なくありません。というのも、たとえクリニックであっても、理想の経営スタイルというものは存在するからです。
かつて、街の診療所というものは、それこそ家族経営の八百屋のようなもので、経営コンサルティングの必要などないと思われていました。その頃は、医師である院長先生と、それを補佐する院長夫人がいて、事務やスタッフの面倒を取り仕切っていました。院長先生夫婦が親代わりの、まさに「家族経営」だったわけです。
しかし「家族経営」は、本当に家族だけの小さなビジネスを展開するのであれば経費がかさまないというメリットがありますが、クリニックが大きくなるに従って歪みが出てきます。
院長夫人が仕方なく財務・労務管理に携わるケースも
一番の問題は、たいていの場合、院長先生も、その奥様である院長夫人も、経営のプロフェッショナルではないし、プロフェッショナルになる気もないということです。
人にはそれぞれ向き、不向きがありますし、好きなこと、やりたいことも異なります。ほとんどの医師は、人を助けたいために医師になったのであって、クリニックの金勘定をしたいわけではありません。奥様もまた同じで、クリニックの経営を取り仕切りたくて、医師と結婚した、という方はまれでしょう。
つまり、多くのクリニックでは「他にやる人がいないし、しょうがないから」という理由で、院長夫人が財務管理や労務管理に携わっている側面が見られます。
もちろん、最初は好きで始めたわけでなくても、意外な適性を発見したり、凄腕を振るったりする方はいくらでもいらっしゃいます。医師にしても、独立開業を志す人は、多かれ少なかれ経営にも関心を持っていますから、経営難になっても逆にやる気を見せる院長先生もいます。
この話は次回に続きます。