今回は、非課税財産・債務控除に関する「相続税評価額」の計算事例を見ていきます。※本連載は、税理士の松本 繁雄氏の著書、『相続・贈与の実務 法務から税務対策まで』(経済法令)の中から一部を抜粋し、相続税額の計算方法や、相続税申告書の作成方法などをご紹介します。

生命保険金の非課税金額はどう計算するか?

(4)非課税財産(申告書第9表)

 

①仏壇、仏具……130万円

 

②生命保険金の非課税(申告書第9表)

イ:非課税限度額

500万円×5(法定相続人数)=2,500万円

 

ロ:各人の非課税金額

 

[図表1]申告書第9表

 

 

(5)債務控除(申告書第13表)

 

 

香典200万円は、相続財産ではありません。また、交通安全協会への寄附は非課税財産になりません。

(注)

①次男二郎の借入債務に対する保証は、二郎の子である平夫と妻Bが承継可能であり弁済能力も認められますので、債務控除の対象とはなりません。

②墓石の未払代金は債務控除の対象とはなりません。

③香典返し費用は葬式費用になりません。

 

[図表2]申告書第13表

 

遺族慰謝料・損害賠償金は相続財産には含まれない

(6)慰謝料等

 

遺族慰謝料は、遺族に直接帰属しますので、相続財産となりません。

 

自動車損害賠償保険金および運送会社からの損害賠償金は、遺族に対する賠償と考えられますので、遺族慰謝料と同様に相続財産に含めません。

 

自動車損害賠償保険金は、一般の損害保険金とは異なりますので、みなし相続財産に該当しません。

 

(7)生前贈与財産の加算額(申告書第1表)

 

①一郎に対する贈与財産……宅地2,000万円

 

②良子に対する贈与財産……宅地3,000万円(相続時精算課税適用財産)

(注)

①正子は相続放棄していますので、加算されません。

②花子は相続開始前3年を経過していますので、加算されません。

 

[図表3]申告書第1表

 

本連載は、2017年6月24日刊行の書籍『相続・贈与の実務 法務から税務対策まで』(経済法令研究会)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続・贈与の実務 法務から税務対策まで

相続・贈与の実務 法務から税務対策まで

松本 繁雄

経済法令研究会

相続税は、平成27年度の税制改正に伴う、納税者の大幅増加と租税回避への動向に効果的に対応する観点から、平成29年度の改正では、①相続税・贈与税の納税義務の見直し、②財産(土地、株式等)の評価方法の適正化、③物納財産…

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