毎月の家賃収入を「老後の生活費」に充てられる
将来への備えと言うと、これまでは預貯金という手段が一般的でしたが、賃貸併用住宅はこれとは考え方が根本的に異なります。
預貯金は単なるストックです。そこに現金1000万円があったとしても、現在の金利情勢では、それは10年後もそう変わらない金額です。仮に年間100万円ずつ取り崩していくと、10年で使い切ってしまい、リタイヤ後の生活資金としては心配です。
例えば、先ほどご紹介した「老後のゆとりある生活費」を捻出するために、公的年金で不足する分として毎月10万円を預貯金から支出するとしましょう。預貯金額が2000万円であれば、16年間は取り崩し続けることが可能です。取り崩しを始める年齢を65歳とすれば、81歳までは心配なくゆとりある生活を送れるわけです。
しかし、その後はどうでしょう。
81歳ともなると男性の平均寿命は超えていますが、人間いつまで生き続けるか、見通すことはできません。ゆとりある生活までは望まなくても、生活はし続けるわけですから、生活費は掛かります。預貯金が底を尽いてしまったら、その先どうすればいいのか不安を募らせずにはいられません。よく言われる長生きリスクです。これに対抗しようとするには、預貯金のようなストックを取り崩すタイプの備えは不向きです。
これと根本的に異なるという賃貸併用住宅は、それが毎月生み出してくれる家賃収入をあてにするもの。言わばキャッシュフローを生み出すタイプの備えです。ストック取り崩し型と違って、いつか底をついてしまうという心配はありません。
自らは働き続けることができなくなっていたとしても、「働楽(はたらく)マイホーム」である賃貸併用住宅は健在です。人間と同じように多少のメンテナンスは必要な時期を迎えてはいるでしょうが、賃貸用の住戸を稼働させることができている限り、そこからは家賃収入として一定のキャッシュを得ることが可能です。
いざとなれば売却し、換金することも可能
賃貸併用住宅は家賃収入というキャッシュフローを安定して生み出してくれるだけではありません。不動産というストックでもあるので、いざとなれば、そのものを売却処分し換金することもできます。その運用によって稼ぎを生み出すこともできれば、その売却によって価値をお金に換えることもできるのです。
運用益も売却益も得ることができる―それが、賃貸併用住宅の最大の魅力です。そこには、長生きリスクはありません。賃貸併用住宅が家賃収入を生み出し続けてくれる限り、安心して生活を続けられるからです。こうした資産を持つことこそ、リタイヤ後の備えとして欠かせないものなのです。
お金や不動産は持っているだけではもったいない。それを運用して初めて、真価が発揮されるものです。株式投資にしても不動産投資にしても投資というのはまさに、そうした考え方の上に立っています。お金に稼がせる、かつ不動産にも稼がせるという発想です。
マイホームもれっきとした不動産です。それを自己居住用にしか利用しないのは、預貯金として銀行に預けっぱなしにしているのと変わりありません。何も生み出してはいないのです。まがりなりにも数千万円を投じて手に入れたのであれば、そのマイホームにも不動産としてしっかり稼いでもらうべきでしょう。