前回は、多くの企業が「シニア人材」を持て余している現状を探りました。今回は、シニア人材特有の問題点を見ていきます。

「俺が若かった頃は…」を押し通すシニアも

シニア側にも問題があります。

 

例えば、「俺にはこんなに実績があるんだ」などと、過去の実績や栄光にしがみついているシニア人材は少なくありません。肩書がはずれた自分の現在価値に気がついていない人は、企業としては使いづらい人材です。

 

上下関係をつくりたがるタイプや、プライドが高くてコミュニケーションを取れないタイプも問題です。

 

現役世代が仕事を教えようとしても、「俺の若かった頃は、こんなやり方をしなかった」と拒まれたら、それ以上教えようがありません。ましてや、「敬語の使い方がなってない」などとシニア人材から叱られたら、「教えるのはこっちなのに」と、現役世代としては面白くないものです。

 

実際、私の会社にも困ったタイプのシニア人材はいました。仮にAさんとしましょう。私の会社の社員は、基本的にシニア人材ばかりなのですが、それでもAさんは上下関係をつくりたがりました。

 

社員はみなコピーは自分で取っているのに、Aさんは「コピー取っておいて」と周りに命令していたのです。命令された側は、部下でもなんでもないので、「なんで、私があなたのコピーを取らなくてはいけないのですか?」と当然反発します。社内の雰囲気は、一時期かなり険悪なムードになってしまいました。

 

同世代が集まっている会社ですらそういう事態になるので、周りが年下ばかりの環境なら、さらに「自分のほうが目上だ」という態度になってしまうのも無理はありません。現役の社員を年下だからと呼び捨てにしたり、「君ねえ」と失礼な呼びかけ方をしたりするシニア人材もいます。

給与やポストなど、待遇に不満を持つ場合も多い

そして、過去の実績をひけらかして、「俺の価値は報酬だ。報酬で示せ」という人も、企業としては困ります。

 

長い間、日本の会社文化のなかで過ごしてきた人は、一度就職したら、保険、年金、貯蓄など何から何まで会社が面倒を見てくれるという環境に慣れています。そのため、シニア人材にも会社がポストを用意してくれるのが当たり前だと思っていて、待遇が気に入らなければ不満を漏らすばかりで、自分の現在価値を考えないタイプが多いものです。

 

また、先が短く、昇進や昇給がないなかで、成果への期待が小さい仕事をすることに対してモチベーションが維持できないという問題もあります。

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    本連載は、2017年5月29日刊行の書籍『シニア人材という希望』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    シニア人材という希望

    シニア人材という希望

    中原 千明

    幻冬舎メディアコンサルティング

    超高齢社会の到来とともに、日本人の働き方は大きく変わる――。 都市銀行でマネジメント職を歴任。定年後に起業し、多数のシニア人材を雇用する経営者が語る“新しい労働の在り方"とは? 2013年4月1日、高年齢者雇用安定…

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