「ミュージション」の入居率はなぜ下がらないのでしょうか。今回は、ミュージションの需要を支える「音楽家」たちの現状を見ていきます。

人口減少時代でも音楽大学の入学倍率は1倍超の現実

音楽に特化したマンションの話をすると、必ず聞かれることがあります。それは、「音楽を好きな人がいるのはわかるけど、本当にそんなにたくさんの需要があるの?」ということです。

 

確かに、自分自身が音楽とあまりかかわらずに毎日を過ごしている方ですと、世の中の多くの人も同じように暮らしていると感じられるでしょう。

 

しかし、実際には日々、歌や楽器に触れ、生活したいと願う人が多くいます。その証拠に、音楽大学や音楽専門学校の募集人数は、首都圏だけでも毎年9000人以上にのぼります。日本全国なら、その数はさらに増えます。もちろん、これはあくまで募集人数ですから、この数字がそのまま卒業人数になるわけではありません。それでも毎年かなり多くの学生が音楽を専門的に学び、社会に巣立っていくのだということは、おわかりになると思います。

 

さらに、音楽学校ではなくても、軽音楽部や合唱部、ブラスバンド部に所属したり、あるいは友人たちとバンドを組んで音楽を趣味とする学生はたくさんいます。学生時代を音楽漬けで過ごした彼らが、卒業したとたんに、音楽と無関係の生活を始めるとは、到底思えません。

 

仮に、1年間に1万人の卒業生がいるとすれば、10年間で10万人です。そうやって実際に街を見渡してみると、通勤電車の中でヘッドフォンをつけ音楽を聴いている人や、ギターなどの楽器を背負って歩く人々の数が、意外と多いことに気づくはずです。ちなみに、第1回で大学の生徒不足の話をしましたが、ほとんどの音楽大学や芸術系大学の倍率は、人口減少時代でも、依然として1倍を超えています。

 

少し古いデータですが、「07年度私立大学短期大学等入学志願動向」によると、私立大学の約40%、短期大学の約50%で定員割れを起こしています。そんな状況にもかかわらず音楽系大学の人気が衰えないのは、音楽で生きることを目指す若者が一定数以上、確実に存在するからでしょう。

「大人になって楽器を始める人」も増えている!?

それに加え、近年は音楽を日常に取り入れたいと考える層が、音大の学生や卒業生以外にも広がっています。

 

2010年3月7日の日経新聞に、1994年度末からの15年間で、ヤマハ音楽教室の生徒数全体に占める大人の比率が8%から22%へ急伸したという記事が出ていました(生徒数は全体で50万人、大人はそのうちの10万人)。その中には楽譜を読めないような初心者も多く含まれているそうです。

 

ミュージションの入居者の中にも、これまで音楽をきちんと学んだことはないけれど、音楽が生きがいという方もいらっしゃいます。たとえば、大学時代に友だちに誘われてピアノサークルに入って以来、ピアノの楽しさに夢中になり、月1万円でレンタルのグランドピアノを借りて毎日弾いているという方が、ミュージション川越に住んでいるのですが、この方のピアノ熱はかなりのものです。彼のような「隠れた音楽家」が、日本には数多く存在しているのです。

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