複数の呼び名を持つ「サゲニティック」水晶とは何か?

今回は、複数の呼び名を持つ「サゲニティック」水晶について説明します。※本連載は、日本彩珠宝石研究所の所長で、独自にコレクション収集も行う飯田孝一氏の著書、『宝石Q&A』(亥辰舎)より一部を抜粋し、宝石に関する様々な疑問についてQ&A方式で答えます。

細長い結晶を含んでいる水晶の「総合的な呼称」

Q:サゲニティックっていう水晶は複数ある様です。なんでそう呼ぶのですか。

 

A:サゲニティックはインクルージョンを形容した名称です。日本では『針入り水晶』と呼んでいます。

 

 

<解説>

 

サゲニティック sageniticとは、細長い結晶を含んでいる場合にそれらを総合的に呼ぶ言葉で、『サゲニティック・クォーツ Sageniticquartz』とか『サゲニティック・アゲート Sageniticagate』と呼んでいます。簡単に『サゲナイト Sagenite』と呼ぶ事もあります。

 

水晶は多くの種類の鉱物のインクルージョンを含むことで知られています。インクルージョンで多いのが、針状や繊維状など細長いタイプの結晶です。

 

もっとも知名度の高いのはルチルの様ですが、トルマリン、アクチノライト、トレモライト、そしてゲーサイトなどもあります。水晶中にあるそれらのインクルージョンの種類が確定できる場合には、『ルチルレイテッド・クォーツ Rutilelatedquartz』『トルマリネーテッド・クォーツ Tourmalinatedquartz』などと、その名前を冠して呼びます。

 

しかし通常ではその種類が確定できない場合もあり、それをサゲニティック・クォーツと総合して呼ぶのです。

 

日本ではそれらのものを、古くから『針入り水晶』と呼んでいます。色と見え方から『ススキ入り水晶(褐色のトルマリン入り)』、『草入り水晶(アクチノライトなど緑の結晶入り)』、『露入り水晶(針状結晶の先の方に微小な鉱物の粒が付いているもの)』などとイメージで呼ぶ事もあります。

インクルージョンの種類が決定できない場合には・・・

<かんたん宝石学>

 

水晶を始めとして、結晶中に入り込んでいるインクルージョン鉱物には多くの種類と様々な形状のものがあります。それらは世界中の宝石学者によって研究され、日々多くのものが報告されています。

 

鑑別の現場では、その結晶が成長した鉱床のタイプを推定して、その色と形状、見え方、共生して入っている鉱物等を手がかりにして、総合的にインクルージョンの種類を推定しています。

 

しかし繊維状や細かな粒状になっている場合には分析が困難になる事が普通で、インクルージョンの種類が決定できない場合には、その形状を表示して名称付けを行なう事もあります。

 

先述した様にサゲニティックは針状晶入りの事ですが、泥状で分布している場合には「モス Moss」、樹枝状の場合には「デンドリティック Dendritic」などと大きな括りで呼んでいます。

日本彩珠宝石研究所 所長

日本彩珠宝石研究所所長。1950年生まれ。1971年今吉隆治に参画「日本彩珠研究所」の設立に寄与。日本産宝石鉱物や飾り石の世界への普及を行う。この間、宝石の放射線着色や加熱による色の改良、オパールの合成、真珠の養殖などの研究を行う。
1985年宝石製造業、鑑別機関に勤務後「日本彩珠宝石研究所」を設立。崎川範行、田賀井秀夫が参画。新しいタイプの宝石の鑑別機関として始動。2001年日本の宝石文化を後世に伝える宝石宝飾資料館を作ることを最終目的とし、「宝飾文化を造る会」を設立。現在同会会長。2006年天然石検定協議会の会長に就任。
終始“宝石は品質をみて取り扱うことを重視すべき"を一貫のテーマとした教育を行い、“収集と分類は宝飾の文化を考える最大の資料なり"として収集した飯田コレクションを、現在同研究所の小資料館に収蔵。

著者紹介

連載あなたの知識は大丈夫!? 鑑別家が答える「宝石Q&A」

宝石Q&A

宝石Q&A

飯田 孝一

亥辰舎

宝石に関する「なーんだ、そうだったんだ!」を50個のQ&Aに凝縮しました! 天然石・宝石にまつわる疑問に、鑑別家である飯田孝一が明解に回答。間違った知識のまま広がる宝石名や、意外に知らない扱い方など、宝石ファンはもち…

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