細長い結晶を含んでいる水晶の「総合的な呼称」
Q:サゲニティックっていう水晶は複数ある様です。なんでそう呼ぶのですか。
A:サゲニティックはインクルージョンを形容した名称です。日本では『針入り水晶』と呼んでいます。
<解説>
サゲニティック sageniticとは、細長い結晶を含んでいる場合にそれらを総合的に呼ぶ言葉で、『サゲニティック・クォーツ Sageniticquartz』とか『サゲニティック・アゲート Sageniticagate』と呼んでいます。簡単に『サゲナイト Sagenite』と呼ぶ事もあります。
水晶は多くの種類の鉱物のインクルージョンを含むことで知られています。インクルージョンで多いのが、針状や繊維状など細長いタイプの結晶です。
もっとも知名度の高いのはルチルの様ですが、トルマリン、アクチノライト、トレモライト、そしてゲーサイトなどもあります。水晶中にあるそれらのインクルージョンの種類が確定できる場合には、『ルチルレイテッド・クォーツ Rutilelatedquartz』『トルマリネーテッド・クォーツ Tourmalinatedquartz』などと、その名前を冠して呼びます。
しかし通常ではその種類が確定できない場合もあり、それをサゲニティック・クォーツと総合して呼ぶのです。
日本ではそれらのものを、古くから『針入り水晶』と呼んでいます。色と見え方から『ススキ入り水晶(褐色のトルマリン入り)』、『草入り水晶(アクチノライトなど緑の結晶入り)』、『露入り水晶(針状結晶の先の方に微小な鉱物の粒が付いているもの)』などとイメージで呼ぶ事もあります。
インクルージョンの種類が決定できない場合には・・・
<かんたん宝石学>
水晶を始めとして、結晶中に入り込んでいるインクルージョン鉱物には多くの種類と様々な形状のものがあります。それらは世界中の宝石学者によって研究され、日々多くのものが報告されています。
鑑別の現場では、その結晶が成長した鉱床のタイプを推定して、その色と形状、見え方、共生して入っている鉱物等を手がかりにして、総合的にインクルージョンの種類を推定しています。
しかし繊維状や細かな粒状になっている場合には分析が困難になる事が普通で、インクルージョンの種類が決定できない場合には、その形状を表示して名称付けを行なう事もあります。
先述した様にサゲニティックは針状晶入りの事ですが、泥状で分布している場合には「モス Moss」、樹枝状の場合には「デンドリティック Dendritic」などと大きな括りで呼んでいます。