供給量が少なく、価格高騰が顕著な都心の新築物件
図表1のように平成22年と平成27年の国勢調査を比較した場合、人口増は都心とその周辺エリアに集中しており、23区の賃貸市況は都心を中心に良くなってきています。賃貸市況のトレンドも都心3区は別格で、上昇トレンドはその周辺地域までといった状態です(図表2参照)。
[図表1]
[図表2]
そのため、ワンルームマンションを購入するなら、都心のエリアを中心に選ぶ必要があります。しかし、ここ2~3年間は都心で新築物件の供給はほとんどなく、あったとしても価格の高騰が顕著で、採算が取れないのが現状です。手ごろな価格で都心に供給された物件を購入するには、図表3のように都心で盛んに建築されていた時期までさかのぼる必要があります。
つまり、都心の物件を購入したいのであれば、現在ほとんど建築されていない「新築」を選ぶのではなく「中古」を選択しなければなりません。中古ワンルームマンションにこだわる理由は、ここにあります。
具体的に都心とは、千代田区・港区・中央区・新宿区・渋谷区・文京区の6区を指し、平成19年をピークに供給が減少している都心エリアでは人口増に比べ供給数が少ないため、古いマンションをメンテナンスし綺麗な状態に維持しておけば賃料の値崩れがしづらく収益は安定するのです。当然、現在においても入居需要は高く、私が代表を務める和不動産の管理物件の平均入居率は、年間平均98%超の数字を維持しています。
[図表3]
物件の売却までを見据えた「相続税対策」が重要
相続税対策において収益性の確保は、この上なく大切なポイントになります。なぜなら、通常不動産は、所有し続けると資産価値は下落していくのが当たり前だからです。その資産価値の下落を収益性の確保で補うことによって、はじめて「親が持っている資産2億円の相続税評価額を下げ、時間をかけてでも子どもに2億円として残す」ことが可能となるのです。
例えば、売買価格2000万円の中古ワンルームマンションを購入したとします。しかし、購入から相続を経て子どもが物件を売却するまでに、市場における売買価格が1500万円まで下がった場合には、資産価値としては500万円の損失です。そうなると、親からの2000万円を子どもに2000万円として残すことができません。これを回避するためには、収益性の確保が必要になります。
この場合、図表4のように購入から物件を相続し売却までの間に収益を500万円以上確保できれば、購入から売却までの間で資産が減らないことになります。これができて初めて、親からの2000万円を子どもに2000万円として残すことができるのです。
このように資産価値が下がる可能性のある不動産では、収益性の確保が必須になります。もちろん、500万円以上の収益を確保できれば、2000万円以上で受け取ることも可能です。受け継いだ子世代まで、収益性が確保できる好立地の物件を相続することが必要でしょう。
[図表4]