前回は、健康寿命にも影響すると考えられる、デンタルケアの重要性を取り上げました。今回は、予防医学の観点から矯正歯科治療の可能性について見ていきます。

右肩上がりで増加する、日本の糖尿病患者数

現在、日本の糖尿病患者の数は右肩上がりで増加し続けています。厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年調査によると、断続的な治療を受けていると推測される糖尿病の総患者数は、316万6000人。前回の調査よりも46万6000人も増加していることがわかりました。予備軍の推計人数も含めると、成人のうち5人に1人が糖尿病にかかるともいわれています。

 

もはや国民病ともいえる糖尿病。私は、この糖尿病の予防に、矯正歯科治療が役立つと考えています。というのも、糖尿病と歯周病には関わりがあり、歯周病予防が糖尿病予防にもつながることがわかっているからです。そして、歯周病の予防には矯正歯科治療が役立つからです。

今後期待される「医科」と「歯科」の連携

愛媛県松山市で「にしだわたる糖尿病内科」という糖尿病専門クリニックを開院されている、西田亙わたる先生という医師がいます。

 

私はある時、知人の歯科衛生士から、内科医でありながら「糖尿病の治療をするためには歯周病の治療が大事である」と説かれ、口腔ケアの重要性についても広く伝えようとしている医師がいると聞きました。それが、西田先生でした。

 

そこで私は西田先生に連絡をし、クリニックを訪ね、先生とお話しさせていただくことにしました。そして、その後もいろいろと情報交換をしていく中、私は、「矯正歯科治療で正しい歯並びにすることは、ひいては糖尿病の予防にもつながる」という思いを強くしました。

 

実は、いまだに医療界では医科は医科、歯科は歯科という考え方が一般的で、医科と歯科で連携して病気に取り組もうという動きはまだまだ少ないというのが現状です。

 

正直なところ、医科のドクターたちというのは「歯科は別分野」とみているという向きもあります。口腔内のトラブルが全身の病気を引き起こす恐れがあることがいろいろとわかってきている状況でありながら、医科と歯科が協力する体制が整っていない現状を歯がゆく感じることもあります。そのような現状がある中、西田先生との出会いは私にとって、とても有意義なものでした。

 

「患者さんのためには何が最善であるか」と考えると、今後、医科と歯科が連携していく体制を整えていく必要性を感じています。そのための取り組みを地道に続けていくつもりです。そして何より、これからも日々の矯正歯科治療を通じて歯の健康づくりをサポートし、人々の健康向上に貢献し続けていきたいと考えています。

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