「単なる欲望」だけで前に進むのは限界がある
最近、私は「どうやったら儲かりますか」と聞いてくる人には、「自分次第ではないか」と答えています。
私は、人にはそれぞれ、お金や成功を受け止める器が備わっていると思っています。この器が大きくなればなるほど、お金を稼ぐことができるのです。しかし、この器は、単に夢や欲が大きければ広がるわけではありませんし、ちまたに出回る「お金を儲けるテクニック」などを使えば、大きくなるものでもないのです。
もちろん、真剣に「お金を稼ぎたい」という夢を持ち、叶えようとすれば実現します。ただ、あなたのやることの規模が少しずつ大きくなり、社会に影響を与えるようになると、「車が欲しい」「飲みに行きたい」「家が欲しい」などのように、単なる自分の欲望だけで、前に進むのは限界があります。
社員やお客さんのために役立とう、もっと楽しい思いをしてもらおう、もっと便利になるようなものを開発しよう、などといった、人のためにという気持ちがなければ、行き詰まってしまうはずです。
人の役に立てば、自然と豊かになる
私が「自分次第」というのは、自分の人間としての器を磨き、深めていくことで、お金もついてくるという意味なのです。
私自身が、まさにそのことを体験しました。会社の売り上げが30億円になったとき、私はその器ではなかったのです。
30億円というお金と自分の器が合わなかったのです。人のためにという目標が見えにくくなって、居心地が悪くなって仕事をやる気にならず、結局、会社を売る決断をしたのです。
ここで、松下幸之助さんの言葉をご紹介しましょう。松下幸之助さんは、「経営者には三つの種類がある」と言います。
●「下」の経営者は、財を残す
●「中」の経営者は、企業を残す
●「上」の経営者は、人を残す
お金だけが目的のうちは、まだ、経営者としては未熟者。企業を育て、人を育てることで、一人前になるのです。私は、会社を売却するときに、この言葉を目にし「まったくそのとおりだ」と実感しました。
「スーパードリンク」を始めたばかりのころは、経営者や成功者の本を読むたび、「なぜ、みんな、人に感謝するとか、世の中に役に立つとか、そんなことばかり言うのだろう?」と思っていました。
でも、その後20年経った今、人の役に立てば自然に豊かになるということがわかったのです。