今回は、企業経営の軸となる「見える資産」と「見えない資産」について見ていきます。※本連載では、株式会社バリュークリエイト代表取締役・三冨正博氏の著書『「見えない資産」経営 企業価値と利益の源泉』(東方通信社)から一部を抜粋し、組織資産や人的資産、顧客資産といった「見えない」資産の創り方を見ていきます。

バリューダイナミクスの「5つの資産」とは?

バリューダイナミクスは開発された時点ではまだ、概念を示したものにすぎなかったけれど、企業における価値創造の源泉を読み解くコードをたしかに持っていた。

 

おそらく、アーサーアンダーセンのプロフェッショナルたちが、企業経営と日々向き合っていくなかでどのように物事を考え、どのように行動してきたか、経験則的に積み上げられてきた知恵を分析し、形にしたときにできあがったのがバリューダイナミクスのフレームワークだったのだろう。

 

だから、私も初めてバリューダイナミクスを見たときに、それが何を意味するのか、すぐに理解できた。自分たちがもともと持っていた考え方であり、5つの資産を元にしたロジックで企業経営を分析し、経営者にアドバイスを行っていたからである。

 

ここで5つの資産とは何か、改めて考えてみたい。

 

『Cracking the Value Code』では、5つの資産を次のように定義している。

 

[図表] バリューダイナミクス・フレームワーク詳細

企業の特色や強みを磨くことで大きくなる「組織資産」

これを、私流に解説すると次のようになる。

 

<見える資産>

 

金融資産

金融資産は、現金/預金、売掛金、負債、投資、資本など。

 

物的資産

物的資産は、土地、建物、器具・備品、在庫など。

 

<見えない資産>

 

組織資産

企業で共有されている組織全体としての力を指す。個々の企業には、各々の企業らしさや強みがあり、そこに磨きをかけることができれば、組織資産は大きくなっていく。逆に企業らしさや強みが失われていくと、組織資産は小さくなっていく。企業が当初持っていた情熱を忘れ、あるいは情熱が変質して傲慢になり、官僚主義や無気力で覆われると組織資産はマイナスになっていく。組織資産のキーワードは人々の情熱をあらわす「ワクワク」であり、「ハートマーク」である。

 

人的資産

従業員がどれだけイキイキと働き、プロフェッショナルとして成長しているか、という視点を指す。働いている人が増えていき、各人が嬉々として働き、さまざまな経験を通じて成長していけば人的資産は大きくなっていく。逆に従業員がヤル気をなくし、成長が止まってしまうと人的資産は小さくなっていく。従業員以外の人的資産には、その会社を応援している「サポーター」も含まれる。人的資産のキーワードは「イキイキ」である。

 

顧客資産

企業が生み出す製品・サービスを購入する顧客がどれだけいるか、顧客がその会社の製品・サービスをどれだけ支持しているか、という視点を指す。顧客が製品・サービスを支持し、購入する回数や単価が上がるか、または顧客数が増えれば、顧客資産は大きくなっていく。また、顧客資産には、製品・サービスを新規に購入してくれる新規顧客、さらには、潜在的な見込み客も含まれる。顧客資産のキーワードは「ニコニコ」である。

本連載は、2017年5月13日刊行の書籍『「見えない資産」経営 企業価値と利益の源泉』(東方通信社)から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「見えない資産」経営―企業価値と利益の源泉

「見えない資産」経営―企業価値と利益の源泉

三富 正博

東方通信社

企業価値というと、金融資産や物的資産といった「見える資産」ばかりが注目されがちだが、著者はそのほかにも組織資産や人的資産、顧客資産といった「見えない資産」があることを強調し、それこそが企業価値と利益の源泉である…

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