病院の存続は、地域住民にとって命に関わる大問題
超高齢社会において、医療の需要は今後ますます増え続けます。人々の健康や安心を守る社会資源として、病院が永続していくことは使命だと思います。
そのためには、病院経営を途切れさせることなく、承継していくことが大事になってきます。承継に失敗して病院が診療できなくなったり、潰れてなくなったりすると、地域に暮らす住民たちは安心して暮らすことができません。
近くに病院がないことの不安や恐ろしさ、不便さというのは、実は開業医自身が一番分かりにくいことかもしれません。なぜなら、開業医は自分で自分の体調を診ることができますし、自分で治療法も分かります。薬が必要なら自分で処方箋を書いて、すぐ手に入れることができます。開業医の家族も同じです。医療・病院というものが身近にありすぎて、そのありがたみに気づいていない開業医も多いのかもしれません。
一般の人々にとって病院というのは、まさに命綱です。何かあったときに助けてもらえると思うからこそ、人々は安心して暮らすことができます。そういった意味で、医業承継の失敗というのは、大いなる社会資源の喪失であり、地域住民にとっては命に関わる大問題です。「承継がダメなら潰れても仕方がない」では済まないのです。
病院の承継には「計画的かつ慎重」な準備が必要
病院経営に限らず、スポーツでも勉強でもダイエットでも何でもそうですが、物事は始めること自体は比較的簡単で、やる気があって資金調達さえどうにかなれば、スタートすることはできます。難しいのは継続することで、長く続けていく根気と体力、計画性、お金のやりくり、周りの人の協力などさまざまな条件が必要になってくるからです。
しかし、始めてしまった以上は長く続けていかなくてはなりません。とりわけ病院経営は人の命に関わることですから、簡単に投げ出すわけにはいかないでしょう。計画的かつ慎重に、承継の準備を整えていかなければなりません。