今回は、助成金・補助金制度の概要について見ていきます。※本連載は、起業コンサルV-Spiritsグループの代表・中野裕哲氏の著書、『50歳からの起業術』(大和書房)より一部を抜粋し、シニア起業に必要な資金の調達方法について具体的に紹介します。

経産省、中小企業庁、厚労省、地方自治体が募集

国や地方自治体は、雇用の促進や商店街の活性化などを目的として助成金や補助金の制度を設けています。これは融資とは違い、給付されるお金なので基本的には返済する必要がありません。とてもありがたい話ですね。

 

ただ「新たに人を雇うからください」と申し込めば、すぐにもらえるものでもありません。完全後払い制で、かかった経費の何割かをキャッシュバックしてくれるものと考えてください。また、恒久的に用意されているものでもなく、年度により内容も募集の有無も変わります。前年度にあった制度が廃止や規模縮小となったかと思うと、新たな政策に合わせて新しい制度が誕生したりするのです。

 

こうしたことから、最初からあてにせず、「運がよければ、後でもらえるお金」くらいに考えておいたほうがいいでしょう。起業の計画段階から、資金繰りに組み込んで考える類のものではありません。

 

●手続きは複雑かつ狭き門

 

助成金、補助金は、大きく3つに分かれます。ここで簡単にまとめておきましょう。

 

①経済産業省・中小企業庁

 

国がまとまった予算をとり、大々的に募集します。創業促進、中小企業の振興、技術開発などを目的としていて、審査は厳しく、正直申し上げて狭き門です。ただ起業する時期が募集期間と重なれば応募する価値はあるので、中小企業庁のホームページをチェックしてみましょう。

 

②厚生労働省

 

雇用や従業員の能力開発などを目的とする助成金です。要件を満たせば基本的に受給できるので、人を雇う予定があるなら活用することを考えてみましょう。最新情報は厚生労働省のホームページで確認してください。

 

③地方自治体

 

都道府県、市区町村単位で、助成金、補助金を出していることがあります。創業融資の借り入れの際の利子や信用保証料の一部を負担するほか、ホームページを作成する費用などを対象としたものも見受けられます。自治体により内容に差が大きく、まったくない場合もあります。拠点を置く場所の役所のホームページでチェックしてください。

申請を検討する際は、社労士か税理士等に相談を

●労力と金額が見合うかは専門家に

 

いずれも手続きはかなり複雑。助成金、補助金の募集を知ってから専門家に相談して、書類を揃えて申請し、晴れて審査に通っても、実際にお金を受け取るまで半年から1年くらいかかります。

 

このため、対象となる経費についてある程度の金額を使う予定がない場合は、頭から切り離しましょう。手続きにかける労力に対して割に合わない場合もあるからです。

 

さらに、審査に通るのは、申し込んだ人のうち通常3~5割程度です。それを考えれば、そのぶんの労力を本業に注いだほうがいいと思います。補助金欲しさに、要件を満たそうと経営方針を変更するのはナンセンスです。

 

また、予算がなくなれば終了となるため、タイミングよく期間中に応募する必要があります。創業の準備で忙しいなかでの情報収集はたいへんですから、助成金や補助金に詳しい社会保険労務士、税理士などの専門家に相談してください。

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