環境規制などは撤廃の方向 石油産業にはメリットも
トランプ大統領の保護主義政策の一つである「国境税」、米国内の企業の輸出収入に課税しない一方、輸入した部品や完成品は経費としては認めないというもの。米国で製造している製品にとっては、安価な輸入品との価格競争が沈静化する分、市況上昇への期待は高まる。また、中国などへの関税引き上げの圧力もあり、とりわけ、鉄鋼のダンピング輸出に歯止めがかかる公算も。
米国のエネルギー自給の確立、米国でのシェール、石油、ガス、クリーンコール資源の開発、米国の利害に敵対する国々からの輸入を不要にすることなどを政策で挙げている。環境規制などは撤廃の方向とも捉えられ、既存の石油産業にはメリット。シェールガス開発なども積極的に行われる公算。
雇用創出に向けて、製造業の新工場建設、海外企業への米国工場建設要求などが相次いでいる。米国での設備投資拡大でメリットを受ける企業が注目されよう。また、米国では機械の輸入を中国に頼っている面も強く、中国との貿易戦争が勃発すれば、国内機械メーカーには幅広く恩恵も。
米国第一主義を実践する海外企業は、恩恵を享受するか
ソフトバンクグループの孫正義社長は米国企業に500億ドルを投資、5万人の新規雇用を創出することで合意すると明らかにしている。これを受けて、トランプ氏が孫社長を絶賛するなど、米国第一主義を実践するような海外企業は恩恵を享受する可能性もある。米国第一主義の観点からいえば、米国での合弁企業の業容が大きい企業などは、相対的に保護主義政策などによるデメリットも乏しい。
法人税を35%から15%まで引き下げることが明言されているほか、所得税に関しては、7段階から12%、25%、33%の3段階に変更し、最高税率は現在の39.6%から33%に引き下げるとしている。また、相続税の廃止も掲げている。今後は個人消費の拡大なども想定されることで、米国個人消費関連銘柄への関心が高まる余地もあろう。