行政の開示情報から街の変化を「予測」する
前回の続きです。
では、街の変化を予測するにはどうすればよいのでしょうか。京都市は街づくりに対して積極的に情報を発信しています。市が運営する「京都市情報館」というサイトでは、まちづくりについて現在何が検討されているかや、過去の計画で何がどう変更されたのか、詳細が公開されています。
一例を挙げれば、2015年12月に京都駅周辺の容積率が緩和されています。再開発の進む京都駅周辺に、都市機能を集積させるためです。
規制ばかり目立つ京都市ですが、効率的な開発のために随時都市計画を見直し、緩和もしているということです。
次の文章は、2015年12月京都市都市計画局の「駅周辺における地域地区の見直しについて~用途地域・高度地区・防火地域及び準防火地域・景観地区等の変更」中に記載されているものです。
「京都市では、都市計画マスタープラン(2012年2月に策定)に基づき、交通拠点の周辺に都市機能を集積させるとともに、地域コミュニティを基本とした生活圏の維持・構築を図ることで、それぞれの地域が公共交通等によりネットワークされた、暮らしやすく、地球環境への負荷が少ない都市構造の実現を目指しています。
この目指すべき都市構造の実現に向け、交通拠点である駅周辺において都市機能を集積させるために、2015年12月1日に用途地域や容積率等の都市計画の見直しを行いました」
マイカーの乗り入れを規制する条例も!?
また、京都市は「歩くまち京都」を目指しており、街中へのマイカーの乗り入れは規制していく一方で、徒歩と公共交通の利用を推進する方針をとっています。
その一環として、2015年には10年の歳月をかけて四条通の歩道拡幅を実現させ、御池通から四条通及び烏丸通から河原町通内の信号機4基を撤去しました。この区間は制限速度も時速30㎞から20㎞へ変更されています。自動車を規制すると同時に、自転車の通行環境の整備にもとりかかっています。
この京都市の「歩くまち」政策は入居者の物件選びにも大きく関わってきます。
今までもバス網が充実していることから、駐車場は必須ではなかった京都市ですが、今後は「駐車場よりも駐輪場」「駅よりもバス停に近い立地」など、部屋選びの際に今までとは違うポイントが重視されるようになる可能性があります。
このように、行政の街づくりのコンセプトを押さえておくことで、投資対象の不動産をとりまく将来の環境を予想し、長期的な視点で検討することが可能になります。