前回は、オーストリアのプライベートバンク「キャピタル・バンク」について取り上げました。今回は、欧州の伝統的プライベートバンクのサービス概要を見ていきます。

プライベートバンクサービスの種類は大きく二つ

前回の続きです。

 

当行が提供するプライベートバンクサービスは大きく分けて二つあります。

 

一つは、ポートフォリオ構築です。

 

顧客専用の操縦士のようなサービス提供を心掛け、アドバイザーとの個別相談で投資目的と投資の枠組みを決めていきます。そして、個々の契約に基づいて認められた裁量の範囲でキャピタル・バンクが資産の配分を行います。

 

もう一つは、アドバイザリー契約です。ポートフォリオを管理する副操縦士の役割を目指します。

 

契約条件については、成功報酬型オプションと固定費用のオプションの両方から選択することができます。

 

成功報酬型オプションでは、アドバイスやポートフォリオ管理に関する報酬は、運用成果があった時のみ支払われます。銀行は、純資産が拡大した時のみ手数料が発生し、すべての手数料を引いた残りの収益の15%が支払われます。一方で、もし損失となった場合には、プラス収益になるまで手数料を受け取ることなく管理運用します。

預かった資産を「減らさない」ことが運用の原則

ここからは篠田が補足します。

 

キャピタル・バンクに限らず、そもそも、伝統的プライベートバンクでは、顧客から預かった資産を大きく増やすことは目指していません。具体的な収益目標を設定することもほとんどありません。

 

伝統的プライベートバンクが目指していること、それは、預かった資産を「減らさない」ということです。ほぼ全てのプライベートバンクの経営者がこの点を強調します。「減らさない」ということにはいろいろな意味があります。

 

例えば、物価上昇(インフレ)によって資産の実質価値が下がることを回避することです。序章で少しふれましたが、歴史を振り返ればインフレによって預金等の価値が激減した例は数えきれないくらいあります。

 

戦争や天災等によるダメージも考えられます。中東などではいまなおテロや戦乱で資産を失う人がたくさんいます。日本でも、「自分は大丈夫だろう」と思いがちですが、大雨や大地震によって自宅や家財を失う可能性は決してゼロではありません。

 

そして、インフレにしろ戦争や天災にしろ、多くの資産を持つ資産家ほどその影響は大きくなります。伝統的プライベートバンクの信頼とは、何十年にもわたって顧客の資産を守ることによって生み出されているのです。

プライベートバンクの嘘と真実

プライベートバンクの嘘と真実

篠田 丈

幻冬舎メディアコンサルティング

スイスの伝統的プライベートバンク経営者が共著・取材協力! その実態が初めて明かされる! 相続税増税や海外資産の取り締まり強化など、富裕層が持つ資産に対する捕捉は厳しさを増す一方。そんな中で注目されているのが「…

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