低収益だが、整合性が高い場合は「資金」に着目
前回の続きです。
まず、ミッションとの整合性は高いが、収益が上がらず持続性が危うい場合の解決策は2つあります。
1)事業収入以外から資金を調達して補てんする
その事業にかかる経費は、どこか別の資金源から調達する必要が出てきます。寄付や会費を充てることで持続させる、あるいは助成金や補助金を獲得するなど、非営利団体ならではのファンドレイジングによって事業を継続させることを考えます。
2)経費の削減
非営利団体ならではの経費削減方法も有効です。ボランティアの協力、物品の提供などで経費自体が低くなれば収益率は上がります。例えば子どもたちのキャンプの場合、営利企業の子ども向けツアーにボランティアスタッフが引率者に加わることはなくても、非営利団体なら目的に賛同した人が協力してくれます。また、キャンプで必要な食材を地元の企業が協賛として寄付してくれる、旅館などを低価格で提供してもらうということも考えられます。コストを抑えることで収益率が高まります。
高収益だが、整合性が低い場合はミッションを再検討
次に、収益はもたらすけれども、ミッションとの整合性が低くて事業持続が疑問視される場合の解決策を見ていきましょう。これも2つあります。
①ミッションに結び付ける
先のペンションの場合、シーズン中は一般向けのリゾート施設として営業するとして、それ以外の時にはエコツアーの宿泊所とするといった本来の目的に沿った運営をすればミッションとの整合性が高まります。エコツアーだと一般客と同じような宿泊費が取れないと思われるかもしれませんが、それは思い込みかもしれません。リゾート施設として運営してきたノウハウを生かして、「安かろう、悪かろう」の逆を目指してはどうでしょう。
「他の非営利団体のエコツアーよりお料理がおいしい!」といった評判が立つかもしれません。また、一般客も、実は「里山について学ぶ」ことを求めているかもしれません。里山の生物を観察するオプショナルツアーなどを実施して、それを通じて団体の里山保護活動について知ってもらえたら、まさにミッションとの整合性と収益性の両立がかないます。
②事業従事者をできるだけ切り分ける
安定した事業であれば、その部分の事業については、別枠で職員を募集するのも一案です。先のペンションで言えば、料理は専門スタッフを雇用して、管理人は既存の団体職員が従事していたとします。その職員は、もともと自然保護活動に関心をもって就職したのに、なぜ接客業をしなくてはならないのかと不満を抱いていたのかもしれません。持ち回りで担当をしていたとしても「貧乏くじ」のように感じていては事業実施にさしさわりがあります。
ただ、団体内で事業ごとに担当者を切り分けすぎると、前項のような「ミッションへの回帰」ができなくなります。気づいたら「里山保全とは程遠い、エコに反する事業になっていた」などということにならないためにも、切り分けすぎには気をつけなくてはなりません。
3)非営利組織としての要件を守る
非営利組織として税制優遇を受けている中、活動目的から外れた事業を展開する際の制約が法人格ごとに決められているので、ミッションと整合性のない事業を展開する際には、確認して順守してください。