非営利団体のミッション・・・整合性・収益性の問題をどうする?

今回は、非営利団体のミッションと、その整合性や収益性に問題がある場合の解決策を見ていきます。※本連載は、非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事し、これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇した実績を持つ、ファンドレイジング・ラボ代表・徳永洋子氏の著書、『非営利団体の資金調達ハンドブック』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、非営利団体として事業収入・収益を上げるノウハウを解説していきます。

低収益だが、整合性が高い場合は「資金」に着目

前回の続きです。

 

まず、ミッションとの整合性は高いが、収益が上がらず持続性が危うい場合の解決策は2つあります。

 

1)事業収入以外から資金を調達して補てんする

その事業にかかる経費は、どこか別の資金源から調達する必要が出てきます。寄付や会費を充てることで持続させる、あるいは助成金や補助金を獲得するなど、非営利団体ならではのファンドレイジングによって事業を継続させることを考えます。

 

2)経費の削減

非営利団体ならではの経費削減方法も有効です。ボランティアの協力、物品の提供などで経費自体が低くなれば収益率は上がります。例えば子どもたちのキャンプの場合、営利企業の子ども向けツアーにボランティアスタッフが引率者に加わることはなくても、非営利団体なら目的に賛同した人が協力してくれます。また、キャンプで必要な食材を地元の企業が協賛として寄付してくれる、旅館などを低価格で提供してもらうということも考えられます。コストを抑えることで収益率が高まります。

高収益だが、整合性が低い場合はミッションを再検討

次に、収益はもたらすけれども、ミッションとの整合性が低くて事業持続が疑問視される場合の解決策を見ていきましょう。これも2つあります。

 

①ミッションに結び付ける

先のペンションの場合、シーズン中は一般向けのリゾート施設として営業するとして、それ以外の時にはエコツアーの宿泊所とするといった本来の目的に沿った運営をすればミッションとの整合性が高まります。エコツアーだと一般客と同じような宿泊費が取れないと思われるかもしれませんが、それは思い込みかもしれません。リゾート施設として運営してきたノウハウを生かして、「安かろう、悪かろう」の逆を目指してはどうでしょう。

 

「他の非営利団体のエコツアーよりお料理がおいしい!」といった評判が立つかもしれません。また、一般客も、実は「里山について学ぶ」ことを求めているかもしれません。里山の生物を観察するオプショナルツアーなどを実施して、それを通じて団体の里山保護活動について知ってもらえたら、まさにミッションとの整合性と収益性の両立がかないます。

 

②事業従事者をできるだけ切り分ける

安定した事業であれば、その部分の事業については、別枠で職員を募集するのも一案です。先のペンションで言えば、料理は専門スタッフを雇用して、管理人は既存の団体職員が従事していたとします。その職員は、もともと自然保護活動に関心をもって就職したのに、なぜ接客業をしなくてはならないのかと不満を抱いていたのかもしれません。持ち回りで担当をしていたとしても「貧乏くじ」のように感じていては事業実施にさしさわりがあります。

 

ただ、団体内で事業ごとに担当者を切り分けすぎると、前項のような「ミッションへの回帰」ができなくなります。気づいたら「里山保全とは程遠い、エコに反する事業になっていた」などということにならないためにも、切り分けすぎには気をつけなくてはなりません。

 

3)非営利組織としての要件を守る

非営利組織として税制優遇を受けている中、活動目的から外れた事業を展開する際の制約が法人格ごとに決められているので、ミッションと整合性のない事業を展開する際には、確認して順守してください。

ファンドレイジング・ラボ 代表

日本ファンドレイジング協会理事
佐賀未来創造基金 理事

東京都出身。大学卒業後、三菱商事に勤務。1998年から日本フィランソロピー協会で視覚障害者向け録音図書のネット配信事業「声の花束」を担当。2000年よりシーズ・市民活動を支える制度をつくる会で、おもに非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事。そのプロジェクトの一環として、日本ファンドレイジング協会設立を担当し、2009年2月、同協会設立と同時に同協会事務局次長となり、2012年6月より2014年12月末まで同協会事務局長をつとめた。現在、同協会理事。
2015年2月に「ファンドレイジング・ラボ」(http://fundraising-lab.jp/)を立ち上げ、「3分間ファンドレイジング講座」をウェブサイトで連載。非営利団体のファンドレイジング力向上と寄付文化の醸成を目指して、講演、コンサルティング、執筆などを行っている。これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇。受講者は1万人を超えている。

著者紹介

連載非営利団体のための「事業収入」を高めるノウハウ

非営利団体の 資金調達ハンドブック

非営利団体の 資金調達ハンドブック

徳永 洋子

時事通信出版局

全国に10万超あるNPOの悩みの種。「資金獲得のノウハウ」を初めて集大成。全国10万超のNPOの最大の悩み「資金をどう獲得するか?」。その答えを初めて、具体的に書きました。 寄付の依頼には手法があります。イベントに集客す…

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