手元資金がなく、取れる対策もどんどん減っていく…
「増収・減益」が続いていたA店ですが、しばらくすると売上も落ち込み始めました。経験と勘でホール営業をしてきたA店の店長は、ホールコンピュータが毎日はじき出す数字の分析が苦手でした。
一方、営業部長の上司である本部長も、月末に店長から上がってくるA店の売上数字を見るだけです。上がっていれば「よくやった」の一言、下がっていれば営業部長をなじるといった、場当たり的な対応が慢性化していました。加えて、これまでの「増収・減益」状態では、手元資金もなく、取れる対策もどんどん減っていきました。
本部長「今月の売上はひどいな。このままではまずいね」
営業部長「はい。私も最近客数が少ないと感じ、先々週くらいから営業の強化をしてはいたのですが・・・。しかし、6月は長雨のせいもあってか客足が非常に悪くて。おまけに競合のY店の新台入替イベントがかなり大規模にあったようで」
本部長「なるほどね。とにかく、ウチも早急に何かを手を打つ必要がある」営業部長「しかし、手を打つといっても取れる対策は限られていますので・・・」
本部長「まったくだ。とはいえ打てる対策を打とう。イベント日を増やしてチラシ広告を強化してください」
営業部長「了解しました」
本部長「まずは何としても遠退のいた客足を取り戻さねば」
何の計画もないので、ジリ貧のA店では「ある月には計画を大きく下回り、翌月には取り過ぎる」ということが起こりがちでした。売上が下がれば「仕方がない、何か対策を打とう」となるのですが、新台を入れるような十分の資金もなく、いつも利益率の悪くなるイベント強化を図るばかりだったのです。
予実管理で「予算と実績の乖離」を回避
<解決策>
予実管理を行うことでホール営業は安定する
通常、営業計画は年度末に翌期の計画を立ててそれを月々に割り振り、さらに週別、日別と目標を立てていきます。このようにして細かく設定した目標と実数の差が大きくならないように営業を行うのが予実管理です。予算と実績の乖離(かいり)がどんどん大きくなれば、営業計画が崩れて営業は成り立たなくなります。
A店の売上目標と実績の乖離は「このままでは営業が成り立たないのでは」と心配になるレベルでした。私がコンサルティングを依頼された当初、A店における休日を除く日別の売上は平均140万円程度で、どの平日もおおむね目標達成率が落ちていました。粗利額の達成率ももちろん落ちていました。
A店は売上も粗利も落ち込み、いよいよ目に見えて苦しくなっていったのです。
次回は、今回に引き続き解決策を見ていきます。