営業部長と店長でタイミングを見計らっていたが・・・
ジリ貧ホールが持っている資金には限りがあります。思いついたらジャブジャブ使える大型ホールと違い、集客の仕掛けをする時にはせっかくの資金を最大限に活かせるよう、ベストのタイミングを見計らって動かなければいけません。
B店では仕掛けのタイミングは営業部長と店長の話し合いで決めていましたが、読み間違えることが多く稼働につながっていませんでした。ある年の夏には設備の変更をお盆休みの後に行いました。経験をもとに「後出しの方がいい」「店舗の魅力を上げて稼働が落ちる時期をカバーできる」と考えた営業部長の判断でしたが、せっかく投資したにもかかわらず、稼働はまったく変わりませんでした。
「SWOT分析」を利用して、仕掛けの時期を判断
仕掛けのタイミングについてはさまざまな考え方があります。しかし、ジリ貧ホールではB店のように経験をもとに判断するところが多く、時代が大きく変化した近年では失敗するケースが増えています。投資効率を考えるなら、B店の場合も戦略に基づくタイミングを選択するべきでした。
その後、椅子の交換について相談を受けた私は「お盆休み前」にするようアドバイスしました。その結果、通常でも稼働が上がるお盆休み期間中の稼働がさらに上がり、その後の落ち込みも例年よりも小さく抑えることができました。椅子の新調という投資の効果を十二分に活かすことができたのです。
このケースで私が判断の基準にしたのは「SWOT分析」と呼ばれる考え方です。SWOT分析は次の要素を列挙し、各々を重ね合わせて事業の方向性を導き出すものです。
S・・・自社の強み(Strength)
W・・・弱み(Weakness)
O・・・機会(Opportunity)
T・・・脅威(Threat)
「S」(自社の強み)と「O」(機会)を重ね合わせたときが最も効果が高いのですから、「椅子の交換」という強みは「集客が期待できるお盆休み」という機会の前に投入してこそもっとも効果が表れることがわかります。