国際収支には「国の発展段階」に応じた特徴がある
前回の続きです。
日本はこれまで、経常収支黒字・金融収支プラスであることが多く、日本の対外純資産(= 対外資産残高 - 対外負債残高)は約363兆円(2014年末)と、1991年以来24年連続世界一となっています。日本は長いあいだ、経常収支の黒字(おもに貿易収支の黒字)で稼ぎ、外国に直接投資や証券投資を行なってきました。
一般に国際収支は、国の発展段階に応じて、図表1のような特徴を持ちます。これを国際収支発展段階説といいます。
[図表1]国際収支発展段階説
「成熟した先進国のパターン」に移行しつつある日本
日本の国際収支は、かつては毎年10兆円余りを貿易で稼ぎ出し、海外に投資するという典型的な先進国のパターンをとっていました。
しかし、2011年から日本の貿易収支が赤字になったことや、近年、第一次所得収支の黒字が急速に膨らんでいることなどから、日本は成熟した先進国のパターンに移行しつつあるといえます。
[図表2]日本の経常収支の推移