1社ですべての生産を行えば莫大な利益が・・・
前回の続きです。
(4)独占
資本主義の第四の欠点は、独占が形成されることです。1社ですべてを生産する状態を独占、数社でほとんどを生産する状態を寡占といいます。いったん独占が形成されると、競争相手がいないため、高い価格(=独占価格)をつけることが可能になります。その結果、企業は莫大な利益を手にすることができます。
また、競争が行なわれなくなると、品質を向上させる誘因も失われます。企業はそうした独占的地位を手に入れるため、時にはダンピング(生産コスト以下での安売り)をして同業者を叩きつぶし、そのあと価格をつり上げることもありました。こうした独占の弊害は、19世紀後半のアメリカやドイツで多く見られました。
独占の弊害を防ぐために、独占を制限する立法措置がとられましたが、いずれも実行力に乏しく、独占資本のなかには国家権力と結びつき、海外侵略・植民地獲得の黒幕として大きな力を発揮した企業もありました。
1日12時間以上働かされていた19世紀の米国労働者
5月1日は、メーデーとして、世界的に労働者の祭典の日とされています。その起源は、1886年5月1日に、アメリカの労働組合が8 時間労働制を要求してストライキを行なったことに始まります。当時の労働者は、低賃金で1日12時間以上働かされるのが当たり前でした。
これに対してアメリカの労働者は「8時間は労働のために、8時間は休息のために、そして残りの8時間は自分たちの自由な時間のために」という主張を掲げて立ち上がったのです。
日本で初めてメーデーが行なわれたのは1920年でした。その後一時中断はありましたが、第二次世界大戦後復活し、メーデーは現在も続けられています。ただ、近年は労働組合の力が弱くなり、歴史が後戻りしているように思われます。
[図表]1920年に行なわれた日本初のメーデー