今回は、節税目的だけで車を購入してはいけない理由を見ていきます。※本連載では、税理士、西浦雅人氏の著書『今すぐ社長の給料を半分に下げなさい』(リンダパブリッシャーズ)の中から一部を抜粋し、具体的な事例とともに、社長として気をつけたい「間違いだらけの節税対策」について解説していきます。

Q:今期、利益が360万円ほど出そうなので、決算月に360万円の車を買おうと思っているのですが、どうでしょうか?

 

A:目的次第ですね

事業に必要な車なら、購入してもいいが・・・

問題は何のために車を買うのか、ということです。事業を行っていくために、どうしても360万円の車が必要なのであれば、買ってもいいと思います。しかし、そうではなく、ただ単に節税対策のためということであれば、はっきり言います。

 

「そんなバカなことは、やめなさい!」と。

 

なぜなら、そんなことをしても、まったく節税対策にはならないからです。もしかすると、360万円の車を買ったら、その時点で360万円全額を経費として落とせると思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。車は減価償却資産ですので、6年かけて減価償却していくことになります。360万円の車であれば、1年に60万円(=360万円÷6年)しか経費として落とせないわけです。

結果、節税できた金額は1万500円!?

しかも、車を買ったのが決算月だとしたら、その年は1か月分すなわち5万円(=60万円÷12か月)しか経費になりません。ということは、360万円の利益から引けるのは、1か月分の減価償却費5万円だけということで、結局その年の利益は355万円となり、利益をゼロにするつもりが、5万円しか利益を減らすことができなかったということになるのです。

 

ちなみに、360万円の利益にかかる法人税は21%で75万6000円。これに対して、355万円の利益にかかる法人税は同じく21%で74万5500円。結局、その年に節税できた金額は、わずか1万500円だったというわけです。

本連載は、2017年1月31日刊行の書籍『今すぐ社長の給料を半分に下げなさい』(リンダパブリッシャーズ)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

今すぐ社長の給料を半分に下げなさい

今すぐ社長の給料を半分に下げなさい

西浦 雅人

リンダパブリッシャーズ

はじめまして、税理士の西浦雅人です。私はこれまで数多くの社長や個人事業主の方とお会いしてきましたが、残念なことに世の中には間違った節税対策をしている人が、本当にたくさんいるものです。私の知り合いの社長も、そんな…

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