
『今すぐ社長の給料を半分に下げなさい』

西浦 雅人
出版社名:リンダパブリッシャーズ
発行年月:2017年1月
はじめまして、税理士の西浦雅人です。私はこれまで数多くの社長や個人事業主の方とお会いしてきましたが、残念なことに世の中には間違った節税対策をしている人が、本当にたくさんいるものです。私の知り合いの社長も、そんな一人でした。その社長は、小さな会社を経営していて、すごく仕事熱心で、「飲む・打つ・買う」の影などまったくない真面目な人でした。
ところが、ある日、その社長の会社が倒産したという噂が私の耳に入ってきたのです。私は一瞬、耳を疑いましたが、「こういう時代だから、そういうこともあるだろう」と思っていました。それからしばらくして、たまたま不動産関係の飲み会でその社長に会ったので、私は「どうして会社が潰れるようなことになったのですか?」と聞いてみました。すると、「どうしてでしょうね。私にもわからないんですよ」という意外な答えが返ってきたのです。
そこで、私は税理士の立場から、「きちんと節税対策はされていたんですよね?」と聞いてみました。すると、その社長は、「もちろんですよ。誰よりも節税していましたよ!」と言われました。私は節税対策に興味があったので、具体的にどんなことをしていたのかを聞いてみました。すると、次のような答えが返ってきたのです。
「会社に利益が出そうになると、取引先を接待したり、大量の消耗品を購入したり、社員に臨時ボーナスを出したりしていました。税金で持っていかれるよりは、そのほうがいいですからね」
この社長がやっていたのは「儲かったら、経費を増やす」という方法で、多くの人がやりがちな節税対策なのですが、じつはこれが大きな間違いなのです。
「それから、いざというときに銀行から融資してもらえるように、銀行とのお付き合いも兼ねて、毎年きちんと借り入れをして、金利もちゃんと払っていましたよ。金利は経費になりますからね」
これもよく聞く話なのですが、やはり間違っているのです。
「そんなことをしているから、会社が潰れるんですよ!」と、私は思わず叫んでいました。
中小企業の社長の多くは、利益が出そうになると、経費を増やして税金の支払いを少しでも減らそうとします。しかし、それは正しい節税対策とはいえません。経費で落とせるからといってお金を使っても、それは「3割引のバーゲンセール品を買っている」ようなもので、すごく得をするようなことではないのです。また、社員にたくさんボーナスを払えば払うほど、会社の社会保険料負担がどんどん上がっていきます。したがって、このような節税対策と思って多くの社長がやっていることは、結局、会社からお金がなくなるだけで、会社にとってはデメリットのほうが大きいのです。
がんばっても、がんばっても、利益が出ないという経営者。しっかり節税対策をしているのに、お金が残らないという個人事業主。この本には、そんなあなたを救う方法がたくさん書かれています。同業の税理士さんも知らないことから、さらにグレーゾーンぎりぎりの節税対策まで、教えてしまいます。さあ、私と一緒に「会社にお金を残す方法」を勉強していきましょう。
掲載記事
[連載]社長必見!間違いだらけの節税対策
- 【第1回】 節税対策の臨時ボーナス支給が「愚の骨頂」と言える理由 2017/06/15
- 【第2回】 節税目的だけで車を購入してはいけない理由 2017/06/22
- 【第3回】 経費で「消耗品の買いだめ」…会社の節税につながるか? 2017/06/29
- 【第4回】 社会保険料の高額請求を招く「社長の給料アップ」 2017/07/06
- 【第5回】 社長の給料を「半分に下げる」ことで得られる4つのメリット 2017/07/13
- 【第6回】 社長としての給料を下げずに「手元に残るお金」を増やす節税術 2017/07/20
- 【第7回】 法人税の節税にも使える「中小企業倒産防止共済」の概要 2017/07/27
- 【第8回】 国による中小企業社長の退職金制度!? 小規模企業共済の概要 2017/08/03
- 【最終回】 個人事業主が「法人化」を検討する際のポイントとは? 2017/08/10
人気記事ランキング


税務調査で個人営業の居酒屋に〈追徴課税2,000万円〉…「どこからのタレコミですか?」→税務調査官の“誇らしげな回答”【税理士の実体験】

遺産は「普通預金500万円」と「実家」だけなのに、なんで税務調査?…84歳父が亡くなった2年後、55歳長男に税務署から電話が→まさかの〈追徴税200万円〉に悲鳴【税理士が解説】

「嘘でしょ?」卒園までの5年間英語漬け。第4子をインター幼稚園に入園させた衝撃の結果…「子どもの早期英語教育」の厳しい現実

「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】

年金月16万円の80歳母「サ高住」入居2ヵ月目、タクシーに飛び乗り逃亡。ションボリ娘宅に戻った母が明かす「理由」に52歳長女、驚愕【FPが解説】

「箱根」や「鬼怒川」を抑えた“温泉界の横綱”は?…東日本〈温泉大賞〉トップ3【2025年最新ランキング】

遺産は「普通預金500万円」と「実家」だけなのに、なんで税務調査?…84歳父が亡くなった2年後、55歳長男に税務署から電話が→まさかの〈追徴税200万円〉に悲鳴【税理士が解説】

お父さん、ごめんね…年金月16万円・82歳父「特養入居決定」。自宅で過ごす最後の日にみせた笑顔に、58歳ひとり娘が号泣

「退職金2,800万円」「貯金4,000万円」60歳定年退職のサラリーマン夫、花束を抱えて家路…自宅で待っていた妻の「衝撃のひと言」に戦慄

見たこともない通帳残高に茫然…突如、口座に振り込まれた「¥100,000,000」。年金260万円・老後資金難の60代夫婦が富裕層になった驚愕の理由【FPが解説】

年金の繰下げを後悔しています…〈月20万円〉を受給する70歳元会社員が嘆き。月5万円以上増額も「65歳からもらうべきだった」と零すワケ

頼むから出て行ってくれ…年収420万円・年金暮らし目前の63歳父が葛藤。貯金1,000万円・37歳会社員息子の「このままずっと実家暮らし」を拒絶するワケ

誰にも言えなかったが…実は宝くじで“1億円”が当たった年金月15万円の65歳元サラリーマン「取り返しがつかない。愚かだった」激しい自責の念に駆られるワケ【FPが解説】

「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】
メルマガ会員登録者の
ご案内
メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。
メルマガ登録- 04/15 キャピタルゲインも期待できる環境に!「債券投資」のタイミングと具体的な取り組み方
- 04/16 その“貢献”は認められるのか?相続権がない親族でも請求できる「特別寄与料」とは
- 04/16 一級建築士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、相続専門税理士 4つの視点による「相続税土地評価」と相続対策の進め方
- 04/17 節税効果・相続時のメリットも期待できる?税理士が解説する「マイクロ法人」活用術
- 04/17 こんな時、立退きを求めることができるのか? 弁護士が教える「立退き請求の境界線」Q&A
- 04/19 相続税の「税務調査」の実態と対処方法―調査官は重加算税をかけたがる
- 04/19 「アクティビストファンド」への貴重な投資機会
- 04/19 「家族信託」終了時のトラブル急増!すでに始めている人もこれから検討する人も知っておくべき失敗しないための「家族信託チェックポイント」
- 04/22 『オーナー経営者はなぜ事業売却で失敗するのか』出版記念セミナー
- 04/22 高所得者・高収益法人が注目している、長期保有に向く良質な航空機投資とは
- 会員向けセミナーの一覧