一本につき「最低五〇回」は視聴しないと効果はない!?
ここまで、映像を使いながら、楽しく英語力を上げることのできる教材としてTED Talksを紹介してきたわけですが、楽しいだけで終わってしまってはいけません。多少面倒でも、英語力を伸ばすためにやるべきことがあります。
まず、TED Talksの内容は、数回視聴しただけではすべてを理解することができないのがほとんどです。映像によって差はありますが、英語上級者(TOEIC900点以上)であっても、字幕やスクリプトなしで全文を理解することは非常に難しいです。
そこで、「内容を覚えてしまうぐらい見る」ことをおすすめします。個人差があるでしょうが、一本につき最低五〇回は視聴しないと効果はないでしょう。プレゼンターの間の取り方や息遣いまで覚えてしまうくらいまで視聴します。そうすることで、プレゼンターの英語が長期記憶として残るのです。
TED Talksを使って英語を学ぶ際に大切なことは、理解できている部分と理解できていない部分をしっかりと分け、その後、理解できていない部分を理解できる部分に変えていくことです。そしてさらに、理解できている英語を、「自分が発信する際に使える英語」にしていくのです。
動画はスクリプトを手元に置き、字幕なしで見る
理解できている部分と理解できていない部分を分けるには、Transcript(スクリプト)を用意します。動画を観る前に用意するといいでしょう。
TED Talksの動画のうち、英語圏のスピーカーのものにはたいていの場合、英語と日本語訳の両方がq用意されています。Wordなどを使って、英語と日本語訳を左右に並べてコピー&ペーストし、プリントアウトします。こうすると英語と日本語をすぐ対照できるので意味を確認しやすくなりますし、プリントアウトすることで、気付いたことを書き込むことができます。
動画は、スクリプトを手元に置き、字幕なしで見ます。分からないところが出てきたら、一旦映像を止めて、スクリプトの英語を確認します。英語を見ても分からない場合は、日本語で確認します。これを繰り返して、だんだん聞ける部分(=映像を止める必要のない部分)を増やしていきます。
なお、この学習を進めているときには、辞書を使うことはおすすめしません。スクリプトをみれば、単語の意味は理解できると思います。
英語で内容を完全に理解できる状態になってから、再度TED Talksの動画を視聴してみると、格段に理解できている部分が増えて、内容を楽しめるレベルになっていることに気付くことでしょう。
そして、あらゆる学習に言えることですが、この理解できている状態からさらにもう一歩進んで「使える状態」にすることが大切です。つまり、インプットできている状態から、アウトプットできる状態に持っていくのです。
TED Talksを用いた英語学習であれば、映像の内容が理解できている状態から、自分で似たようなフレーズを使うことができるようにすることです。自然と口から出てくるように使える状態にするためには、音読を繰り返すことです。最低でも三〇回は音読します。そして、オンライン英会話で似たようなフレーズを使ってみるなど、アウトプットの機会を自ら作り出し、自分のものにしていきます。
すきま時間にTED Talksを活用して、英語力をアップしていきましょう。