オンライン英会話の講師の質はどうなのか?
前回挙げたように、メリットが多いオンライン英会話ですが、受講することにためらいを感じる人も多くいます。最大の理由は講師の質でしょう。一レッスンあたり数百円だと聞けば、その質を疑ってしまっても不思議ではありません。「生ビール一杯二五円」と言われれば、「それ、発泡酒じゃないの?」と疑う心理とまったく同じです。
多くのオンライン英会話が一レッスンあたり数百円とリーズナブルなのは、フィリピン人講師が担当するからです(一部のオンライン英会話では、ネイティブ講師にこだわるなどの特長を持たせていますが、ほとんどの場合はフィリピン人講師を採用しています)。フィリピンの物価は日本の一五分の一程度です。この物価の差が、一レッスンあたり数百円を可能にしているのです。
皆さんもよくご存じのとおり人件費は固定費ですから、事業にかかる固定費が少なければ利益が出る体質になります。従来の英会話学校では実現できなかった人件費の圧縮が、オンライン英会話では可能になっているわけです。
ただ、受講する側としては、コストもそうですが、もっと気になるのは講師の質ではないでしょうか。実際、「フィリピン人講師の発音は大丈夫?」「文法は正確?」など、講師の英語能力そのものを心配する声も聞いたことがあります。
フィリピン人講師のレッスンを五〇〇回超受けてきた経験から率直にお話しすると、アメリカ人やイギリス人といったいわゆるネイティブ講師に比べると、フィリピン人講師は語彙量がやや少ない印象があります。また、フィリピン人講師は若い人が大半ということもあり、教養という点で少し欠ける人が多いということも事実だと思います。
しかし、私の考えでは、オンライン英会話は「生徒自らが英語を徹底的にアウトプットする場」です。講師の英語をインプットする場所ではありません(講師とのやり取りの中で、身に付けられた表現などはもちろんあるでしょうが、それがメインではありません)。そう考えると、これらのフィリピン人講師たちの弱点はあまり考えなくてもいいでしょう。
「英語を徹底的にアウトプットする場」と考える
フィリピン人は全般的に高い英語力に加え、ホスピタリティが豊かなことでも知られています。そういったフィリピン人の資質は、日本以外の英語学習者が多くいる国々で好意的に受け止められており、韓国や中国では、フィリピンは英語留学先として近年人気が高まっています。こういったフィリピン人講師ならではの良い点にも目を向け、なおかつオンライン英会話は「英語を徹底的にアウトプットする場」だと考えれば、安心して受講できるのではないでしょうか。
多くの日本人が英語を話すことを苦手としている理由の一つに、「大人なのだから、語彙レベルが高く、洗練された英語を使ってコミュニケーションしなくては」などといった「完璧な英語」志向が強すぎるから、ということが挙げられると思います。
学習を続けていれば、いつかはそのようなレベルにたどり着くかもしれませんが、まずは下手な英語でもいいのでとにかく話してみることが大切です。
特に多いのが、「間違いのない英語」を話そうとし過ぎる学習者です。「3人称のsを付け忘れた……」「時制の一致を間違えた……」などと細かい点は気にせず、間違えていても相手に通じれば、それでいいのです。恐れることはありません。中学一年生レベルのインプットができていれば、アウトプット学習も始めましょう。
オンライン英会話を活用するコツは、徹底的にアウトプットする場だと割り切ること。細かい文法や発音を考えずに、三〇分間のレッスン中とにかく話し続けることに集中しましょう。