従来の眼科で色視力が測られてこなかったのはなぜでしょうか。上の図のような、背景の明度とランドルト環の明度が大きく異なる視力表では、明度差によってランドルト環が識別しやすくなり色がついても通常の白黒の視力表と同じ結果になるため、色視力を測る必要はないと考えられていたからです。色は色相、彩度、明度の3つの要素で識別できます。通常の視力は、白黒のランドルト環を使用しているので、このうちの明度差のみしか測っていないことになります。⇒
背景が明るい色(白)だと、背景とランドルト環に明度差がつくためランドルト環視標が識別しやすくなります。
私たちは従来の考え方はおかしいと考え、色相や彩度の機能を測るため上の図のような検査表をつくりました。背景色とランドルト環の明度を同じにし、色相の違いだけで視力を測ることができるのです。このランドルト環の色は前ページのランドルト環と同じです。これを使用することで、白黒の表以上にL・M・Sそれぞれの錐体別の色覚・機能などが測れるようになりました。今後様々な施設でこの色視力表が使われることを望んでいます。⇒
背景が暗い色だと、ランドルト環の識別が困難になります。色視力が悪い部分の色は、この色を感じる仕組みにS錐体が関わっているとされていますが、S錐体はもともと色を感じる機能が弱いため、ほかよりも見えにくくなっていると考えられます。
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知られざる色覚異常の真実 改訂版

知られざる色覚異常の真実 改訂版

市川 一夫

幻冬舎メディアコンサルティング

先天の色覚異常も、加齢による色覚異常も、この一冊で正しい知識と対策法を身につけましょう! 普段私たちが何気なく見ている「色」ですが、実は人によってとらえ方が違います。なかには、生まれつき特定の色を判別しづらい…

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