前回は、無人営業の旨味を享受するにはコインランドリーがよい理由について紹介しました。今回は、なぜコインランドリーでは「無人営業」が許されているのかについて見ていきます。

銭湯の副業だったことが影響!?

前回の続きです。

 

このように年間1000万円も普通に売り上げるコインランドリーのような業態が、無人営業を許されている(届出のみ)というのは、ほかの業界の人びとから見れば、信じられないことかもしれません。

 

もしラーメンなどの麺類を調理済みでそのまま提供できる自動販売機の設置が無人で許可されたら、今ある多くの24時間営業のラーメン店や立ち食いそば店は、やっていけなくなるでしょう。しかし、そこには人間の口に入るものを提供するのだからということで食品衛生法による縛りがかかり、さきに述べたように現在は事実上、不可能になっています。

 

もしこの「縛り」がとけたら、食品の自動加工技術では世界一の日本のことですから、ものすごく高性能な自販機が開発され、たとえば有名ラーメン店の味を無人店舗で寸分違わず再現してくれることでしょう。

 

ちょっと話がずれましたが、人間の口に入るものだからという理由で、食品を調理済みで提供する自販機が無人店舗には設置できないとしたら、人間の肌に直接触れるものを扱う場合はどうでしょうか。筆者の著書、『手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識』でも繰り返し述べているように、クリーニング業界は、こうした観点から非常に厳しい規制を受けています。では、コインランドリー業界だけがなぜ、無人営業を許されているのでしょうか。

 

実は長年、この業界にいる私にも、その理由を明確に述べることができないのです。あくまで推測ですが、コインランドリーが銭湯の副業としてはじまったことが影響しているとはいえるでしょう。銭湯の営業自体が保健所などによって厳しく規制されていますから、そこに併設されたコインランドリーに、あえて独立した規制をかける必要がなかったという理屈です。

 

またエレクトロラックスなど海外メーカーが業務用の大型洗濯機や乾燥機を日本に持込んだ頃は、ちょうど日本の貿易黒字が世界的な問題になっていた頃でした。先にも述べたように2度目のコインランドリーブームは海外のコインランドリー文化が日本に持込まれたことによって起こったともいえるのです。そのブームに規制強化で水を差すようなことはしたくないという事情があったのかもしれません。

事故が起きても不思議ではない「無人店舗」

コインランドリー業界の内側にいると、あたり前すぎて誰も疑いませんが、アウトドアのコインランドリーが儲かるビジネスである最大のメリット、無人営業は、実に危ういというのが私の実感です。

 

まず衛生問題です。最新の大型乾燥機は80℃の熱風で乾かす仕組みになっていますので、適量の洗濯ものを入れ完全に乾かせば消毒効果は十分だといえます。また洗濯機にも機種によっては使用前に内部を消毒する機能がついたものも出てきました。とはいえ、不特定多数の人が使うわけですから、中にはとんでもない使い方をする人がいないとはかぎりません。この問題は最初のコインランドリーブームの最中にマスコミに叩かれたわけですが、常時コインランドリーを管理する人間がいない以上、今も完全には解決できないのです。

 

さらには、先にも述べましたが、24時間営業の無人店舗では何がおきても不思議ではありません。これも大きな問題です。最近のコインランドリーでは、店内の様子が外からよくみえるようガラス張りにするとか、照明を明るくするなどしていますが、それがどれだけ犯罪の抑止効果をもっているのかは不透明です。また幼い子どもたちが遊び場にしているうちに大型洗濯機や乾燥機に閉じこめられるという事故も、絶対におきないという保証はありません。

 

つまり事件や事故をきっかけに、いつ有人化が義務づけられてもおかしくないのではないか。それが私のまず第1の問題提起です。

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

鈴木 國夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「ローリスク・ハイリターン」な投資先として近年注目を集めるコインランドリー。しかし実際のところ、コインランドリーは本当に儲かるビジネスなのか? 本書では、業界に携わって37年のベテラン社長が、業界の歴史から最近の…

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