前回は、個人経営のコインランドリーを待ち受ける厳しい未来について紹介しました。今回は、これから伸びるコインランドリーの「経営スタイル」について考察します。

働く女性、シングル世帯の増加…急速な需要の拡大も

もちろん日本と欧米では、洗濯の文化が違います。アメリカでは家庭に立派なランドリー室があって、そこで乾燥からアイロンかけまでやるのが普通です。そもそも屋外で干すことがない。つまりコインランドリーに対する抵抗感といったものは、あまりないわけです。

 

それに対して日本人は日本晴れの空の下に物干し竿に通した洗濯ものをいくつもならべてはためかせるというのを伝統的な洗濯のイメージとしています。このあたりは文化の違いでもあるわけですから、何でもかんでも欧米、とくにアメリカのコインランドリー文化を見習えと主張したいわけではありません。

 

しかし一方で、消費社会の動向については、アメリカでおきたことは将来、かならず日本でもおきるという定説はいまだに生きています。先にも述べたように日本でも女性の社会進出が進み、働く女性が増えることによって確実に生活習慣が変化しています。

 

さらには夫婦の離婚率も上がり、シングルで働きながら子育てする人は、男性も女性もこれからどんどん増えていくはずです。そうなればコインランドリーの需要は急速に進みます。アメリカでは全世帯の20%がコインランドリーを日常的に利用しているということですが、日本はまだ10%にも届いていません。日本も早晩、これくらいの数字に達することは間違いありません。

今後は数千万円の資金が必要!?

そこで個人投資家向けにコインランドリー投資を勧める人たちは「だから、これからもコインランドリーはまだまだ伸びる。投資としては狙い目だ」というわけです。

 

しかし本当にそうでしょうか。これから伸びていくコインランドリーは、最新の省エネ技術を取り入れたランドリー機器を設置するとともに、あとに詳しく述べるように有人化にIT技術をプラスしユーザーといつでもコミュニケーションを図れるシステムをそなえたコインランドリーです。

 

また複数店舗の運営による事業規模の確保も不可欠になってきます。最低でも3店舗程度は出店しトータルで利益をだしていくことが必要になります。こうした事業規模にするためには、現在個人投資家がコインランドリーに投資している額とくらべると、優に2倍、3倍の額になるでしょう。最低でも3000万円、できれば5000万円から1億円。こういったレベルの資金を投資できるようなオーナーでないと現在の4度目のブームを生き残っていくコインランドリーをつくるのは難しいのではないか、というのが私の考えです。

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

鈴木 國夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「ローリスク・ハイリターン」な投資先として近年注目を集めるコインランドリー。しかし実際のところ、コインランドリーは本当に儲かるビジネスなのか? 本書では、業界に携わって37年のベテラン社長が、業界の歴史から最近の…

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