前回は、これから伸びるコインランドリーの経営スタイルについて紹介しました。今回は、次世代型コインランドリーに適した立地と、ターゲットとすべき客層について考察します。

「駅近」に「事業規模」のコインランドリーを

今まで事業規模の大きなコインランドリーは地方や郊外など、比較的賃料の低いところに出店するものでしたが、これからは都市部にもどんどん出てくると思います。たとえば東京の中央線沿線を例にとると、今までは駅前に事業規模の大きなコインランドリーができるということは、まず考えられませんでした。

 

洗濯機や乾燥機が20台くらいあって、駐車場もある比較的大きなコインランドリーは、駅から2㎞も3㎞も離れた場所にあるのが普通でした。しかも幹線道路沿から少し入った場所というのが多く、埼玉あたりもそうですが、駅を中心に広がった住宅街が畑や田圃に変わっていくあたりにあるのが普通でした。ところがこれからは、もっと駅に近い場所に事業規模の大きなコインランドリーを出店していくべきだと私は思います。

 

ここでいう「事業規模が大きいコインランドリー」とは、かならずしも敷地や建物が大きいことを意味するわけではありません。先に紹介したような大型だが省スペースな洗濯乾燥機や2段式の大型乾燥機などを中心に設置すれば、機器の設置面積を2分の1以下にすることが可能です。

 

たとえば従来の機器で構成した20坪のコインランドリーは、こうした新世代の機器を組み合わせれば倍の40坪のコインランドリーと同じ売り上げを得ることができるでしょう。もちろん投資額は倍以上になるでしょうが、賃料当たりの売り上げも倍以上を期待できるはずです。

 

さすがに駅前というわけにはいかないでしょうが、23区以外だったら駅から1㎞以内にこうした大型機器をそなえた事業規模の大きなコインランドリーができても不思議はないと思います。筆者の著書、『手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識』で詳しく述べていますが、弊社が次世代型のコインランドリーと位置づけて出店した「ランドリエ」の1号店もIR八王子駅から500m、京王八王子駅からは300mくらいの距離にあります。

「郊外型大型マンション」の住人をターゲットに

東京のベッドタウンとして発展した頃の中央線沿線は、ゆったりとした郊外型住宅が中心で、学生や単身者向けのアパートは駅の近くに集中するのが一般的でした。ところがバブル時代をピークに大きく様変わりして、中央線沿線の駅前には大型マンションが次々とできました。地価の高騰で一般のサラリーマンが一戸建てを買うのは難しくなったからです。

 

こうした駅に近い大型マンションに住む人たちを、なんとかしてコインランドリーのリピーターにすることができないか。というのが、弊社が準備している次世代型コインランドリーを企画する際の問題意識のひとつでした。

 

こうした場所に住む人たちは、そのライフスタイルから考えて、いくら忙しくても、狭くて暗い昔ながらのコインランドリーを使うひとたちではありません。かといってコインランドリーというシステムに拒否反応があるわけでもありません。

 

口コミなどで、もっと離れた郊外に清潔で便利な新しいタイプのコインランドリーがあることは知っていますが、クルマをもたない人も多いので、今まで実際に使ってみる機会のなかった人たちです。こういう人たちが駅まで通う道の途中に新しいタイプのコインランドリーができたことを知ったらどうするでしょうか。

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

鈴木 國夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「ローリスク・ハイリターン」な投資先として近年注目を集めるコインランドリー。しかし実際のところ、コインランドリーは本当に儲かるビジネスなのか? 本書では、業界に携わって37年のベテラン社長が、業界の歴史から最近の…

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