横への広がりから、縦に伸びる都市へ
北海道とほぼ同じの国土面積で、2200万人以上が生活をしているスリランカ。人口増加率は0.8%と決して高くはない一方で、コロンボやキャンディといった中核都市に、地方から人々が集まり始めている。急激な都市化は社会や環境に大きな影響を与え、これまでの文化・生活に大きな変更を迫ることにもつながっている。
先日、開催された都市開発のフォーラムにおいて、スリランカの人口の増加と急激な都市化によって、アパート暮らしへと生活を転換させなければならない局面にきていると、専門家による指摘が相次いだ。いまのように都市が横に拡大していくのでは、保水地帯など保護が必要なエリアの環境破壊が進んでしまう危惧があるため、今後は高密度な生活様式に移行することが必要だという。
都市計画局のナヤナ・マウィルマダ局長は「現在の都市の広がりは、人口の伸びよりも二倍進んでいる」ことを明かし、急増する住宅需要に国がどう対応するかが、経済成長に大きな影響を与えるという。
「(スリランカでは)スラム住民の割合は非常に少ないので、問題となるのは新しい住宅を提供することではなく、住宅のパターンをどう変化するかということです」と同氏は言う。
伝統的な暮らしからの転換が必要
さらに同氏は、もはやこれまでの伝統的な低密度でゆったりとした生活はもはや不可能となり、都市で生活する限りは高密度の生活に移行しなくてはならないとして、次のように語った。
「私たちの家はこれまで独立した一戸建てでした。しかしそれをアパートに移行する局面にあります。これまでは(アパートでの生活は)コロンボとその周辺の一部でのみで行われていたことでした。一戸建てから高密度なコミュニティへの生活様式の移行が、私たちには必要なのです。もし都市化をコントロールすることができなければ、都市の拡大が続くことになってしまいます。」
世界銀行の都市・地域・社会開発上級部長のEde Jorge Ijjasz-Vasquez氏も、都市の拡大をコントロールすることが、特にコロンボ臨海エリアやキャンディなど環境的に保護が必要なエリアにまで拡張が見込まれている地域においては、重要であるとしている。