環インド洋経済圏の中心に位置し、海洋貿易の拠点基地としてのポテンシャルを持つスリランカは、宝石の原石や茶葉の輸出でも有名です。これら特産品の貿易ハブとなることで貿易を活性化し、さらなる経済発展を目指す動きが起きていますが、そこには困難もありそうです。

保護されている宝石や紅茶などの特産品

スリランカの新しい内閣において、現在は輸入を制限して保護をしている宝石や紅茶などのコモディティの貿易を活性化させることで、スリランカ経済をさらに開いていくかどうかが検討されていることを、与党議員であるハーシャ・デ・シルバ氏が取材で明らかにした。

 

経済企画庁の前の副長官でもあったシルバ氏は、スリランカが貿易のハブになることで経済成長を促進していくという考えについて、経済界をはじめとして国民がもっと考えていくべきだという。

 

「貿易ハブとは一体どういうコンセプトか?」と同氏は25周年記念を迎えた宝飾イベントのオープニングで参加者にこのように問うた。「我々は海外から宝石を輸入し、それを加工することで、再び海外に輸出をすることはできるだろうか?」

 

同時にシルバ氏は、すでに地位を固めてシェアを握っている特定のセクターからの、貿易拡大に対する反対の声にも言及し、国内産業の保護と貿易拡大のジレンマを解消することの難しさを示した。

痛みが伴う「貿易ハブ化」構想

この問題を考える上で参考にできるのはタイの事例である。タイではスリランカの宝石業界から多くの投資を受けいれて宝飾加工のインフラを整備し、その結果、宝石の貿易ハブになることができた。その間というもの、スリランカはただ多くの原石を輸出していただけだと、シルバ氏は語る。

 

「我々は決断しなくてはいけない。貿易ハブになるのか、それとも原石を掘って輸出し続けるのか」

 

シルバ氏によれば、同じような政治的決断を迫られている局面は、他のセクターでも起こっている。その代表例は同じくスリランカの代表的な特産物である紅茶だ。海外から茶葉を輸入し、その付加価値を高めて再輸出することで、貿易の活性化につなげようという展望がある一方で、国内産業保護の観点から激しい反対もあり、論争が巻き起こっている。

 

「紅茶に関しては激しく議論が割れている。紅茶を輸入して、付加価値を高めて再輸出をするのか。我々は長い時間をかけて、貿易のハブ化について考えていく必要があるのだ」とシルバ氏は語っている。

この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2015年9月4日に掲載した記事「Sri Lanka mulls freer trade in gems, tea」を、翻訳・編集したものです。

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