前回は、余生を過ごすうえで持っておきたい「自分の軸」について紹介しました。今回は、「不健康な長寿」について考察していきます。

健康に対する意識が高すぎる日本人

多くの日本人は、健康に対して過敏になりすぎていると感じます。政府や医療機関が繰り返し「健康に気をつけよう」と連呼しているせいか、健康に対する意識があまりにも高すぎるのです。

 

私は医師として、患者がどの程度生きられるのか、診断を下すことがあります。もちろん、その方の余命が私の予測通りだったこともあります。しかし、予想より早く亡くなられたり、逆に、私が考えていたよりずっと長生きされたりした方もいらっしゃるのです。

 

人は誰でもいつかは必ず死を迎えます。

 

それは、何十年後のことかもしれません。もしかすると明日、事故や突然の病気で亡くなる可能性だってあるでしょう。人間の寿命は誰にも予見できません。幼くして命をなくす人もいれば、まだ幼い子を残してなくなる働き盛りの人もいます。

「病院に依存した長生き」ではなく、自分らしさを意識

60歳を過ぎるまで生きてこられたということは、それだけでも十分に幸せだと思うのです。確かに、日本人の平均寿命は男性が80.21歳、女性が86.61歳ですから、60歳でもまだまだ20年は元気に長生きしたいと考える人も多いでしょう。しかし、どんなに元気な人にも老化は否応なく訪れます。死を迎える日まで、さまざまな器官が老化し衰え、機能を停止していく。長生きするということはそういうことでもあるのです。

 

だからこそ、単に寿命を延ばすことにしがみつくのではなく、いつ、死を迎えても悔いがないようにその日その日を精いっぱい生きるしかないと考えています。

 

ところが患者のなかには、今日を力いっぱい生きることより、老い先の健康にばかり目を奪われている人が多いように感じます。健康でありたいという気持ちは否定しません。しかし病院に依存し、単に長生きを願うのではなく、自分らしく生きて寿命を全うすることの方が、尊く、幸せではないでしょうか。

本連載は、2016年9月10日刊行の書籍『長寿大国日本と「下流老人」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

長寿大国日本と「下流老人」

長寿大国日本と「下流老人」

森 亮太

幻冬舎メディアコンサルティング

日本が超高齢社会に突入し、社会保障費の急膨張が問題になっている昨今、高齢者の中で医療を受けられない「医療難民」、貧窮する「下流老人」が増え続けていることがテレビや新聞、週刊誌などのメディアでしばしば取り上げられ…

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