不動産を個人から法人に移転…家族信託の活用事例

前回は、 家族信託の概要とメリットについて取り上げました。今回は、不動産を個人から法人に移転する、家族信託の活用事例を見ていきます。

登録免許税、不動産取得税の圧縮が可能に

「家族信託」の基本を押さえたところで、賃貸マンションを個人から法人に移転する際の家族信託の活用法について解説していきましょう(下記図表1、2参照)。

 

委託者兼受益者をAさん、受託者となる息子をBさんとし、家族信託を設定します。この場合、Bさんへ信託登記する際の登録免許税は固定資産税評価額の0.3~0.4%となりますので、通常時の約5分の1で済みます。不動産取得税はかからないため、その分のコストも圧縮できます。

 

そして、受益者Aさんが持っている受益権を資産管理法人、この場合は一般社団法人に譲渡(受益権の売買)します。受益権は債券ですので、受益権の変更については登録免許税1件1000円で移転でき、不動産取得税も課せられません。

 

[図表1]家族信託の活用(移転コストの圧縮)

[図表2]移転コストの差

リートや私募ファンドの手法を応用した相続対策

物件の管理は受託者が行いますが、最終的な賃料を受け取るのは所有者である受益者の資産管理法人になります。賃料収入を、役員報酬として受け取り、父と息子で所得分散できる仕組みは、通常と同じです。

 

こうして、移転コストは、通常の売買のコスト約1876万円より約1644万円も安い、約231万円で済むわけです。

 

実は、この手法は不動産投資信託(リート)や、私募ファンドですでに使われているものを個人に応用したものです。本来の家族信託の使い方とは異なるかもしれませんが、家族信託ならではの特徴を活用すれば、コストも大幅ダウンした上での相続税対策が実現するのです。

株式会社財産ブレーントラスト 代表取締役

1958年7月生まれ。94年、株式会社船井財産ドック(現在東証第二部に上場している株式会社青山財産ネットワークス)に入社。97年に事業部長、2001年に取締役に就任、04年東証マザーズ上場時に、上場の鐘を叩く。05年現場での仕事にこだわり、執行役員に降りる。08年、再度取締役に就任。09年、全国ゴルフ練習場連盟の理事に就任する。10年に退任。
12年12月、一人ひとりのお客様に対して、もっと深く密な財産コンサルティング業務に特化したいとの思いから、株式会社財産ブレーントラストを設立。
著書に『あなたの土地の有効活用はやめたほうがいい』『不動産現金化の時代』『あなたの資産 再生いたします』『改訂版 あなたの土地の有効活用はやめたほうがいい』(全て実業之日本社)、『都心不動産 買い方のコツ』『地主心得帳』『買ってよい不動産・悪い不動産』『3年後 崩壊する地主・生き残る地主』(全てPHP新書)等。

著者紹介

連載悪徳業者に騙されないための相続対策「5つのポイント」

本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

あなたの資産を食い潰す 「ブラック相続対策」

あなたの資産を食い潰す 「ブラック相続対策」

秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

恐ろしい「相続対策の裏側」と「知っておくべきポイント」を大公開! ・相続税対策のうち8割が実は不要!? ・バックマージンが横行する業界の実態 ・相続後にお荷物と化す無意味なアパート・マンション ・税理士のうち約半数は…

 

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧