前回は、公認会計士が事業承継の相談に強いとは限らない理由を説明しました。今回は、資産を守るための「ブレーン」の選び方・探し方を紹介します。

即座にセカンドオピニオンを取ることができるか?

専門家はそれぞれの分野の資格者ですが、単に資格を持っているということで信用するのではなく、これまでの経験や実績をよく確認すべきです。

 

大手だから、有名だからというだけでは決してうまくいかないでしょう。資産家・富裕層自身が金融リテラシーを上げ、信頼できるパートナーを選ぶ力をつけなければならないと思います。

 

そのためにどうしたらいいのでしょうか。

 

まず、「ちょっとおかしい」「なんだか頼りにならない」と感じたら、いままでとは違う別の専門家に話を聞いてみる必要があると思います。特に誰かの息がかかっていたりしない、中立的な立場の人に相談されたほうがいいでしょう。

 

そして、銀行、保険会社、証券会社、会計顧問といったところでのミーティングの際、第三者を同席させることをおすすめします。

 

そこで提案される商品やスキームについて、その場で即座にセカンドオピニオンを取ることによって、簡単に落とせる顧客ではないと示すことが重要です。安易な提案やぼったくりの商品を避けることが可能になります。

 

また、中小企業経営者なら中小企業経営者、地主の方なら地主の方というように、自分と同じような立場、属性の知り合いと情報交換してみてください。知り合いからの情報はなにかと参考になります。

税金、法律、会計の基礎知識を自分でも身につけておく

さらに、回り道に思われるかもしれませんが、ある程度ご自分で税金、法律、会計などの分野に興味を持ち、簡単な入門書や専門家のレポートなどに目を通すのも有効です。基本的な専門用語や考え方、また最近それぞれの分野でどんなことが話題になっているのかなどが頭の片隅にでもあると、相手の話を理解するために役立つでしょう。

 

次回は、もう1度、具体的な事例から専門家の問題と対応策について見てみましょう。

本連載は、2016年5月25日刊行の書籍『資産防衛の新常識』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産防衛の新常識

資産防衛の新常識

江幡 吉昭

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税の増税、マイナンバー制度や出国税の導入など、資産家を取り巻く状況が年々厳しさを増していくなか、銀行や証券会社が販売手数料を目当てに、「資産防衛のサポート」と称して富裕層に群がっている現状…。資産家が金融営…

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