前回は、顧問税理士に事業承継の相談をしてはいけない理由を説明しました。今回は、「親族間の相続トラブル」を弁護士に相談することの問題点を見ていきます。

弁護士にも「得意分野」「専門分野」がある

弁護士は法律の専門家です。依頼人に代わっての示談や調停の交渉、裁判手続きなどの法律事務は弁護士資格がなければできません。逆に言うと、弁護士の出番はトラブルが起こってからです。

 

もちろん、契約書などの作成とチェック、法律上の問題点のアドバイスなどを頼むことができますが、これらは弁護士でなくても司法書士で十分なケースがほとんどです。

 

また、弁護士でも得意分野、専門分野があります。たとえば、離婚などの民事事件しかやったことのない弁護士が、企業のM&Aの案件をうまく処理することは難しいでしょう。逆もまたしかりです。

 

実は、弁護士資格があれば税理士の業務もできます。しかし、実際には税務関係を弁護士が手掛けることはほとんどありません。「餅は餅屋」というふうに、案件によって棲み分けができているのです。

弁護士を介在させないほうが、時間と費用の節約に

私は仕事柄、相続をめぐるトラブルも数多く経験していますが、これも弁護士を介在せずに、自分たち親族同士で話し合って解決したほうが、時間も費用もかからないというのが実感です。

 

考えてみれば、弁護士はその職性上「トラブルが起きていくら」の世界です。残念ながら、訴訟が短期で解決するよりも、長期になったほうが儲かる仕組みになっています。法人同士のトラブルには弁護士は必須でしょうが、個人の親族間のトラブルに関しては、話し合いと「お金」で解決するしかないと思います。

本連載は、2016年5月25日刊行の書籍『資産防衛の新常識』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産防衛の新常識

資産防衛の新常識

江幡 吉昭

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税の増税、マイナンバー制度や出国税の導入など、資産家を取り巻く状況が年々厳しさを増していくなか、銀行や証券会社が販売手数料を目当てに、「資産防衛のサポート」と称して富裕層に群がっている現状…。資産家が金融営…

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