前回は、海外進出における現地「販売代理店」との付き合い方を紹介しました。今回は、自社製品の海外流通において、他国メーカーと上手に連携する方法を見ていきます。

技術供与を通じ、自社製品を海外へ流通させた岩塚製菓

たとえば、日本の米菓メーカーとして業界3位の岩塚製菓は、海外ではその名前を知られていませんが、世界的な食品メーカーである台湾の旺旺集団(ワンワングループ)への技術供与を通して、その製品が広く海外市場に流通しています。

 

『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?』(三田村蕗子/日本実業出版社)によれば、両社の関係が始まったのは、1981年のことです。旺旺集団の前身である宜蘭食品工業(水産加工の会社)の経営者が、水産物買い付けで日本に来日した際に、岩塚製菓の商品「サンフレンド」を食べて、感激したのがその始まりだそうです。

 

しかし、岩塚製菓は以前にタイのメーカーに技術指導をして失敗した経験があり、提携にはあまり前向きではありませんでした。

 

それを押し切ったのが宜蘭食品工業の情熱です。同社は「いつまでも岩塚製菓の技術指導を受けること。岩塚製菓が指定した機械設備を使うこと。岩塚製菓が指定した原料を使用すること」の3つを守ることをかたく約束し、ついに岩塚製菓から技術指導を受けることになりました。

 

水産加工業だった宜蘭食品工業は、その後、旺旺集団と名を変えて、米菓メーカーとして発展します。現在、旺旺集団は、台湾の米菓市場のシェアの9割を握り、中国大陸でも75%のシェアを持つようになりました。その他、世界56カ国に進出し、従業員の数は5万人を数えています。

 

旺旺集団は、すでに岩塚製菓の技術など必要としないほどの巨大メーカーになりました。ところが、いまでも旺旺集団の米菓には、「旺旺と岩塚製菓が手をつないでいるロゴ」が使用され、岩塚製菓は毎年20億円の配当金を受け取っているそうです。

海外メーカーとの連携で世界シェア2割のサンヨー食品

また「サッポロ一番」で有名なサンヨー食品グループは、自社単独では海外進出していないものの、中国の大手食品メーカー康師傳(カンシーフ)やイギリスのケロッグなどと提携して、自社のインスタントラーメンを広く海外展開しています。

 

サンヨー食品グループの生産するインスタントラーメンは、世界全体で生産されるもののうち2割近くのシェアを占めているといわれ、日本企業の海外進出の成功例といえるでしょう。

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

田中 義徳

幻冬舎メディアコンサルティング

国内では売上・利益ともに頭打ちで生き残りが厳しく、海外進出を試みても撤退を余儀なくされる――中小企業はどこに活路を見出せばいいのでしょうか。 海外のマーケットでは、日本国内と同様のマーケティング、営業手法で成果…

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