前回は、SWOT分析で自社の「弱み・強み」を探す方法を紹介しました。今回は、SWOT分析からカンボジアにチャンスを見出した企業の事例を見ていきます。

「強み×機会」により新たな市場を発見

基本的に、アイデアは多ければ多いほど良いものです。「こんなことを言っても役に立たないだろう」「これはSWOTには当たらないかもしれない」などと遠慮されるようなアイデアが、思いがけず役に立つことがあります。

 

たとえば、ある企業では、ブレスト(ブレイン・ストーミング)の中で、「役員の一人が以前にカンボジアに住んでいたことがある」という情報が出てきたことがありました。

 

通常であれば、ただの雑談で終わってしまうところですが、これを「自社の強み」として取り上げておいたところ、最終的に、その友人を頼るかたちでカンボジア進出が決まったことがあります。

 

もちろん、カンボジアに役員の伝手があるというだけで進出が決まったわけではありません。その会社はパンの製造機械メーカーだったのですが、カンボジアは以前にフランスの植民地だったために、一般人の間に食文化としてパンが広く普及しているといった前提条件も大切でした。

 

また、パンが広く普及しているということは、すでに市場ができあがっていて、新しく日本企業のパンの製造機械が食い込むことは難しそうだと感じられます。

 

けれどもカンボジアのパンはフランスパンが中心で、日本で人気のある菓子パンや惣菜パンなどの加工されたパンはあまり販売されていないことから、新規商品として進出できるのではないかというのが最終的な判断になりました。

 

つまり、「カンボジアに伝手がある」という自社の強みを活かせる外部の機会はないかと考えてみたところ、思いがけずカンボジアには自社にとっても機会があるということがわかり、「強み×機会」により新たな市場を発見したのです。

SWOT分析で「想像の範囲外」のアイデアを得る

以上は、あくまでも一例でしかありません。

 

どの国に、どのような製品・サービスを売り込むかは、企業によってさまざまであり、実際にSWOT分析をしてみなければわかりません。

 

私も、いろいろな企業のサポートをさせていただいてきましたが、実際にやってみると、それまでは想像の範囲外だった国が候補として出てくることが多く、毎回、新鮮な驚きをもらっています。

 

海外進出できそうかどうか、SWOT分析を行うだけであれば、コストも時間もそれほどかかりません。

 

「案ずるより産むが易し」「百聞は一見に如かず」と言いますから、実際に社員を集めて、頭と手を動かして、SWOT分析を行ってみることをおすすめします。

 

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

田中 義徳

幻冬舎メディアコンサルティング

国内では売上・利益ともに頭打ちで生き残りが厳しく、海外進出を試みても撤退を余儀なくされる――中小企業はどこに活路を見出せばいいのでしょうか。 海外のマーケットでは、日本国内と同様のマーケティング、営業手法で成果…

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