リーマン・ショックの際、バフェットはどう動いたのか?

今回は、リーマン・ショックの際にウォーレン・バフェットはどのように動いたのか、彼が新聞寄稿したエピソードから見ていきます。※本連載では、S・アダチ&カンパニー・足立眞一氏の著書『株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~』(開拓社)から一部を抜粋、ウォーレン・バフェット氏をはじめとする著名な投資家の運用手法を紹介し、マイナス金利時代に株を持ち続けることで成功する秘訣を紹介します。

市場に恐怖心が蔓延したときこそ、投資のチャンス

われわれはウォーレン・バフェットと同時代を生きてきた。それだけに彼の投資の実践
を目の当たりに眺めることができて幸せである。

 

最近の事例で教えられたことがある。これまで大量投資した銘柄、石油精製のコノコフィリップス(COP)は全部売却した。超強気していたエクソン(XOM)、コノコフィリップスというエネルギー関連株を売却したのに、コノコフィリップスが分社化したフィリップス66(PSX)の大株主になった。先に売った同じ業種の銘柄を買い戻したことになる。

 

石油精製のほか石油・ガスの輸送や貯蔵、ファイン・ケミカル分野にも力点を置く。エネルギーが米国経済を支えるバックボーンという見方にはいささかの揺らぎはない。エクソンなどに比べて業績の上下変動の小さい企業である。

 

ここで一つバフェットらしいエピソードを紹介しよう。

 

ウォーレン・バフェットは2008年10月、リーマン・シヨックの真っ最中、NYタイムズに次のような文章を投稿したのは有名な話である。ウォール街をはじめ世界中の金融市場が恐怖にまきこまれていたときであった。タイトルは「Buy American.I am」(アメリカを買おう、私は実行中)。

 

「米国をはじめ世界の金融市場が窮地に追い込まれた。さらに問題は経済に波及し、吹き出るような勢いである。目先は失業者が増加し、経済活動は低下し、新聞の見出しは恐怖心を駆り立てている。私は米国株に買い出動した。自分の個人資金での投資で、これまでは米国債だけを保有していた(この記述にバークシア・ハザウェイ株は含まれていない。私の保有するバークシア・ハザウェイ株は慈善団体に寄付してある)。相場が現在のような安値圏にあるなら、近く個人資産の100%を米国株にするつもりだ。

 

なぜ?

 

現在、株を買う理由は極めて簡潔だ。市場が欲深くなったときには警戒し、市場に恐怖心が蔓延したときは投資のチャンスであるからだ。

 

いま確実にいえることは、恐怖心が広がり、人気だけで動く目先筋は打ちのめされた。投資家は高いレバレッジに後悔し、企業間の競争が高まることを懸念する。多くの健全な企業の先行きを心配するのは意味がない。これらの企業の業績も一時的には落ちるのは当然だが、向こう5〜20年以内には史上最高利益を上げる」

「現金」にしがみつく投資家はタイミングをつかめない

「まず一つのことを明確にしておきたい。私には相場の短期的な動向を予想することはできないということだ。1ヵ月先、1年先がどうなるかという予測はできない。しかし相場はセンチメントや景気に先駆けて高くなる可能性が高い。コマドリが来るのを待っていたら春は終わってしまう。

 

ここにちょっとした歴史の先例がある。大恐慌の1932年7月8日にダウ平均は41ドルであった。景気はフランクリン· D · ルーズベルトが大統領に就任する1933年3月まで下落した。30%の下落であった。

 

第二次世界大戦の初期には米国の東部も西部も景気は悪化した。1942年4月にやっと底入れした。戦争が終わる以前に底入れした。次に相場が底入れしたのは1980年代初めでインフレが絶頂期になり、景気が低迷したときである。要するに悪材料は投資家の最良の友人である。相場が下落したときには、米国の将来の一片を買うことである。

 

長期的には株式投資の成果はすぐれている。20世紀には米国は二つの世界戦争に巻き込まれ、大きな被害と高い代償を払った戦いを経験した。恐慌、数回の不況、金融危機、オイルショック、流行性感冒、屈辱的な大統領の辞職を経験した。しかしダウ平均は66ドルから1万1497ドルまで上がった。

 

このようなすばらしい成果の一世紀(100年間)を振り返ってみると、株式投資で損をすることの方が難しい。それなのに株式投資で損をする人は多い。不遇な投資家は環境がよいときだけ投資し、記事の見出しが恐怖感をもたらせるときに売却するからだ。

 

今日、現預金を抱えている人は満足感をもつ。しかし、それは間違っている。とんでもない資産をいくら長い間、保有しても収益がなく、むしろ貨幣価値は下がる。現在の危機から脱出するための政策の発動に力点を置くが、現在の金融危機の終焉後にはインフレが進みみ、貨幣価値は減価していく。

 

向こう10年間では株式の価値は現金を上回り、その収益率は相当なものになるだろう。現金にしがみつく投資家はタイミングをつかめず、チャンスを失う。好材料が出現するまで待機する向きはウェイン・グレッキーの名言を知らない。

 

〝後ろに向かって滑るのでなく、これから進む方向に向かって滑る〞(注:グレッキーはカナダのプロ・アイスホッケーの歴史に残る名選手)

 

私は相場観を立てることは好きでない。繰り返しになるが、短期的に相場がどうなるかはわからない。しかし私は閉店した銀行の建物で開店したレストランのように、もともとお金があった場所で口を開けなさいと助言したい。

 

今日は、私のお金も口を開き『株式だ』といっている」

S・アダチ&カンパニー 

京都府生まれ。同志社大学を卒業後、日本経済新聞社を経て、和光証券(現、みずほ証券)入社。取締役国際部長、同株式部長、常務を経て、専務取締役を最後に退任。1998年に投資顧問会社「S・アダチ&カンパニー」を設立し現在に至る。株式投資理論の第一人者であるとともに、絵画投資でも有名。少額の資金から巨額の資産運用をする人まで多様な顧客に対し、しっかりした見方と、きめ細かなアドバイスで抜群の信頼を得ている。主な著書に、『ヘッジファンドの虚実』(日本経済新聞社)、『ビッグバンで資産を増やす』『絵画投資』(東洋経済新報社)、『驚異の大相場予測法』(実業之日本社)、『株の見方狙い方』(講談社)、『不安な時代の知的マネー運用術』(中央公論新社)など。

著者紹介

連載著名投資家に学ぶ資産運用の「成功法則」

本連載は、2017年1月31日刊行の書籍『株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~

株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~

足立 眞一

開拓社

マイナス金利時代に株を持ち続けることで成功する秘訣を解説。高く仕入れ安値で投げる投資家から脱却し、豊かで安心な老後を手に入れるアクティヴ・シニアに。10倍になる株(テン・バガー)等々、豊富な実例で銘柄発掘の心得を…

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