今回は、著名投資家のウォーレン・バフェットの言葉「株式投資はスノーボール」の真意について解説します。※本連載では、S・アダチ&カンパニー・足立眞一氏の著書『株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~』(開拓社)から一部を抜粋、ウォーレン・バフェット氏をはじめとする著名な投資家の運用手法を紹介し、マイナス金利時代に株を持ち続けることで成功する秘訣を紹介します。

転がしていくだけで大きな雪だるまに・・・

バフェットのお好みの言葉に、「株式投資の真髄は雪だるま(スノーボール)」というのがある。

 

雪だるまは転がしていくだけで大きくなる。株式投資も長期に値上がりする株式を選んでじっと保有していれば雪だるまのように大きくなっていく。

 

彼はバークシア・ハザウェイという繊維会社を傘下に収め経営し、コングロマリット形式の投資会社の母体にしたのは1965年(昭和40年)であった。当時の1株当り純資産はその後、飛躍的に膨れ上がり2015年には+159万8284%になった。荒っぽい計算だが100万円投資していたら250億円以上になった。(対ドルでの換算を無視した概算数値)。

 

バフェットは先にも書いたように、長期的に成長する株を買って10年〜20年保有していれば小さな手のひらにはいるようなスノーボールが、転がしていくだけで大きな雪だるまのボールになるという。子供のときに経験したことを株式投資の成果の表現に置き換える。

 

彼がなぜ成功してきたかを分析することが、株式投資で成功する原理になる。

 

先にも書いたように彼の投資の原理原則の出所はグレアム&ドッドの『証券分析』で、80年以上も前に世の中に出た投資指南のバイブルである。

バフェットの時間を3億8000万円で買う

逸話をもう一つ、紹介しよう。

 

「バフェットを買う」という奇妙なオークションがある。

 

彼の時間を買うオークションがバークシア・ハザウェイの株主総会後に毎年、行われる。

 

4月末か5月初めに、本拠地中西部ネブラスカ州オマハでの総会は週末含め2日間行われるが、金曜日の夕食会をいれると足掛け3日間になる。多いときは世界中から4万人の株主が来場する世界最大の株主総会である。最近は中国人の来訪が目立つ。

 

朝11時に始まり夕方の5時過ぎまで総会が続く。議題に関しての質疑応答よりも、バフェットの投資哲学、現在の投資手法、相場観、政治、経済など多岐にわたる。この総会を控えてバフェットは株主に送付する報告書づくりに相当の時間を費やしているはずだ。一般の企業報告書とは異なり、現在の経営状況が克明に書かれている。

 

その総会を終えたあと、やれやれという時間帯を割いて「バフェット・ランチ(昼食)」のイベントを2016年まで17年間も続けてきた。昼食会の出席の権利をネット上で競売にかける。落札者は8人まで同席できる。最近はニューヨークのビフテキのレストランで行われる。落札者は食事を共にしながら、株式投資、社会、経済についてバフェットの意見を聞く。禁じられているのは、目下、進行中のバフェットの投資や目先の相場観、銘柄についての質問である。

 

2016年6月のオークションの落札金額は345万6789ドル(3億8000万円)と2012年の史上最高値に並んだ。

 

資金は全額、サンフランシスコの貧困者、ホームレスの収容所に寄付される。

本連載は、2017年1月31日刊行の書籍『株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~

株で資産を蓄える ~バフェットに学ぶ失敗しない長期株式投資の法則~

足立 眞一

開拓社

マイナス金利時代に株を持ち続けることで成功する秘訣を解説。高く仕入れ安値で投げる投資家から脱却し、豊かで安心な老後を手に入れるアクティヴ・シニアに。10倍になる株(テン・バガー)等々、豊富な実例で銘柄発掘の心得を…

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