世界経済は「中国需要」に救われてきたが・・・
こうして見ると、世界経済が一時の輝きを失い、成長が鈍化してきた中で、日本、ヨーロッパ、新興国といった多くの国々が米国の復権シナリオに翻弄されてきたことがわかる。いま、その世界経済にとって一番のリスクファクターになっているのが中国経済の行方。
米国の住宅バブル局面では、米国の消費拡大で輸入が増えたことから中国の輸出が飛躍的に伸びた。中国は「世界の工場」として認知され、リーマンショック後の4兆元の景気対策で中国経済は上向き、世界経済は中国需要で救われた。
そして、世界2位の名目国内総生産(GDP)になったが、この時の景気刺激策が過剰投資と過剰債務の問題となって成長力が鈍化。「中国バブル破綻は近い」とまで言われている。
何の前触れもなく人民元を切り下げたのだ。中国頼みだった新興国の通貨は下落し、日本など先進国の株式も下落した。
急減する「外貨準備高」…世界経済の攪乱要因に!?
高度成長の階段を駆け上がってきた中国の、成長鈍化が鮮明になったのに加えて、今度は中国の外貨準備高の急減が懸念されてきた。
中国の外貨準備はなお世界最大だが、資本流出に伴い急スピードで減少しており、中国政府は遠くない将来に人民元の切り下げ、あるいは資本統制への逆戻りを強いられるとの見方がされている。
中国の外貨準備高は2014年6月末に3兆9900億ドルとピークに達したが、その後、減少に転じ、2016年1月末には3兆2309億ドル(約378兆円)と、ピークから2割も減少した。
中国の外貨準備高の減少は、人民銀行が海外の投機売りや国内の資本逃避に対処し、人民元買い介入を行なったためだ。中国ほどの規模の経済だと、輸入や対外債務の返済に多額のドルが必要になる。このままドル保有の減少が続けば、世界経済の攪乱要因になるのは間違いないだけに、その行方に関心が持たれている。