前回まで、学校の成績や知能指数では測れない「子どもの可能性」について取り上げました。今回は、どうすれば子どもが頭を使えるようになるのかを考えていきます。

頭を使えるようになるには「頭を使う」しかない!?

前回の続きです。

 

では、どうすれば頭を使えるようになるのか。禅問答のようですが、そのための方法は頭を使うこと、これに尽きます。どんなことでも訓練を続けていれば必ず上達する、これはどなたでも納得いただける真理でしょう。訓練のやり方が適正なら、より効率的に上達する。頭の使い方も同じです。

 

例えば車の運転を考えてみてください。ハンドルを操作しながら、ギアを切り替え、アクセルやブレーキを足で調節する。曲がる時には後方をバックミラーで確認してから、ウインカーを出す。頭の中で常にさまざまな情報を収集・分析・判断しながら、両手両足をてんでバラバラに、しかも思い通りに動かすのです。

 

教習所で初めて車に乗り込んだ時には、ハンドルを握る手に力が入り、アクセルの踏み込み方がわからずにエンストしたり、ブレーキを急に強く踏み込みすぎてつんのめったりしたのではありませんか。最初はそんなぎこちない状態でも、教習を重ねていくうちに、どんどん動きはスマートになり、洗練されていきます。やがて一般公道に出て練習すれば、他の車との関係性を理解しながら運転できるようになります。卒業検定に合格する頃には、ほぼ自由自在に車を操れるようになることでしょう。しかも、車の運転は一度覚えてしまえば、たいていの方が一生忘れることはないはずです。

「使えるようになる」までの時間には個人差がある

頭を使うことも、車の運転を覚えることと似ています。たとえ運動神経に自信がなくとも、ほとんどの人が運転できるようになるのと同様に、頭を使うことも訓練しだいで誰でもできるようになるのです。しかも、一度頭を使えるようになれば、一生にわたって使い続けることができます。

 

ただし、頭を使えるようになるまでの時間には個人差があります。文章題の難問の場合は、少し込み入った問題文を、そもそも読み通すことのできない子どもがいます。文字面は最後まで追えたとしても、何が問われているのかが理解できない子どももいるでしょう。それまで難しい文章題など解いたことのない子どもにとって、最初のハードルはかなり高いといえます。

 

考えることのない期間を長く過ごしてきた子どもほど、考えられるようになるまでの時間が長くなりがちなことは理解いただけると思います。小学校1年生から考える訓練をするのと、小学校6年生になって始めるのとでは、頭が柔らかくなるまでに必要な時間が異なることも容易に想像がつくはずです。だから考える訓練は、少しでも早い時期から始めてあげてほしいのです。

東大・京大に合格する 子どもの育て方

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江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」、「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら──。 40年に…

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