10月27日~11月2日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント>
・10月の米ドル/円は小動きが続いたが、日米などの株安が拡大し長期金利が比較的大きく低下したことを受けて一時156円割れ近くまで下落する場面もあった。
・11月はトランプ大統領の与党共和党の劣勢が予想されている米中間選挙の結果などを受けて、「株安=長期金利低下」がさらに広がるかに注目。
・11月の米ドル/円は152~160円で予想(第1週予想は最後にご参照ください)。
10月の振り返り=長期金利低下で米ドル安・円高に
株安拡大で世界的長期金利上昇から金利低下へ
10月の米ドル/円は、約1ヶ月続いた157~159円中心のレンジを下旬にかけて一時下抜ける場面がありました。ただ156円割れには至らず、156~158.9円と最大値幅は3円にも満たない小動きとなりました(図表1参照)。
それでも、一時156円割れ近くまで米ドル安・円高となったのは、それまで続いてきた世界的長期金利上昇が一段落し、長期金利が低下に転じた影響が大きかったのではないでしょうか(図表2参照)。長期金利が低下に転じたのは、AI投資への懐疑的な見方が浮上したことなどをきっかけに、日米などの株価が大きく下落し、安全資産と位置づけられる債券へ資金がシフトした影響が大きかったでしょう。
一時163円まで米ドル高・円安となった動きは、日本の長期金利上昇と連動したように見えました(図表3参照)。その意味では、そんな長期金利が低下に転じたことは米ドル安・円高を後押しした可能性があったでしょう。
「長期金利上昇=円安」は再燃しないか!?=鍵握る株安の行方
ところで、一時日本の長期金利、10年債利回りが3%を大きく上回るまで上昇したのは、世界的な長期金利上昇に連動した以上に、リフレ政策と見られる高市政権の「責任ある積極財政」に対し、財政規律が懸念された影響との見方が有力でした。
これに対して、9月にかけて、ベッセント米財務長官などから「日本はリフレ政策をやめるべき」といった意見があり、それを受けたように高市政権の関係者もリフレ政策を否定するようになりました。ただ、これについては、なお財源が曖昧なままの消費税減税を進める方針など、具体的な政策姿勢に変わりないとの評価が一般的でしょう。
その意味では、まだ「長期金利上昇=円安」が再燃するリスクも払しょくしきれたわけではなさそうです。にもかかわらず、世界的長期金利上昇が再燃せず、むしろ長期金利が下がるかは、米国などの株安がさらに広がるかが鍵ということではないでしょうか。
円安が一段落したもう1つの理由=ヘッジファンドの円買いへの転換
7月にかけての163円までの米ドル高・円安を正当化したもう1つの要因として投機筋の米ドル買い・円売り拡大がありました。ところでこの動きは、9月以降大きく変わった可能性がありました。
ヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、9月に入るとそれまでの売り越し(米ドル買い越し)から買い越し(米ドル売り越し)に転換し、それが10月も継続しました(図表4参照)。なぜ、投機筋の代表格でもあるヘッジファンドは、9月以降それまでの円売りから円買いに転換したのか。
なぜヘッジファンドは円買いに転換したのか!?
2026年に入ってから、米ドル/円は、基本的に120日MA(移動平均線)より米ドル高・円安の水準で推移してきました。ところが、7月末の日米協調円買い介入をきっかけに120日MAを大きく割り込み米ドル安・円高となると、その後は120日MAより米ドル高・円安に戻れない状況が続きました(図表5参照)。
この120日MAは、ヘッジファンドの円売りと円買いの分岐点の目安といった見方があります。それを前提に考えると、ヘッジファンドがそれまでの円売りから円買いに転換したのは、120日MAより米ドル安・円高となり、9月以降も120日MAより米ドル高・円安に戻れなかったことが一因ではないでしょうか。
また、この9月にかけて、ベッセント財務長官が日本に対して、利上げへの期待や「リフレ政策はやめるべき」、「円高になる政策を期待」などの発言を続けました。ヘッジファンド業界出身のベッセント長官はかねてヘッジファンドと緊密な関係があると見られていたことも考えると、ヘッジファンドの円買い戦略への転換は、日米通貨当局の円安是正策との連携の可能性も注目されるでしょう。
11月の注目点=「長期金利低下=円高」は株安の行方が鍵か
ヘッジファンドと日米当局が連携!?=159円以上なら介入か
ベッセント長官を中心に、日米当局の円安是正とヘッジファンドの円買い戦略が連携しているなら、日米当局はヘッジファンドの円買いを支え、円売りへの再転換を回避するべく動く可能性があるのではないでしょうか。それは、すでに見てきたヘッジファンドの円買いと円売りの分岐点の目安、つまり120日MAより米ドル高・円安が広がることを阻止するということです。
米ドル/円の120日MAが、足下159円台で推移していることを考えると、それを超えて米ドル高・円安が広がる動きに対しては日米当局が円買いの為替介入に出動する可能性があるのではないでしょうか。
11月の米ドル/円は152~160円で予想
以上を踏まえると、11月の米ドル/円は、上値にはおのずと限界があり、株安拡大などにより日米の長期金利のさらなる低下次第で米ドル安・円高への動きが広がるかに注目したいと思います。11月の米ドル/円は152~160円で予想します。
11月第1週の米ドル/円は155~159円で予想
11月3日に米中間選挙が予定されていますが、事前予想ではトランプ大統領の与党共和党の劣勢、上下両院でともに野党・民主党が過半数を獲得するとの見方も出ています。為替相場への影響は、それがこれまで見てきたような最近の株安がさらに拡大することになるかに注目したいと思います。
また今週は11月第1週ということで、10月雇用統計など注目度の高い米経済指標発表も多く発表される予定ですが、総じて米景気の強さを確認するといった予想が基本のようです。米ドル/円は、中間選挙の結果などを受けて、「株安=長期金利低下」がどれだけ広がるかに注目し、上値が限られる一方で下値を試すといったイメージで、155~159円で予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
【注目のセミナー情報】
【株式投資】11月14日(土)
米国株で「10倍株(テンバガー)」を狙うには?
最新AIを活用した「銘柄発掘・分析」のノウハウ
【相続・事業承継】11月19日(木)
認知症による「資産凍結リスク」を防ぐには?
今備えるべき「承継対策」を家族信託の第一人者が解説
【資産戦略】11月25日(水)
約30年ぶりの大金利変動の今しかつかめない?
新たな「お宝保険」の全貌






