高額マンションの売却益、外国人投資家にはどう課税される?「日米租税条約」の意外な関係【国際課税の専門家が解説】

高額マンションの売却益、外国人投資家にはどう課税される?「日米租税条約」の意外な関係【国際課税の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

東京の都心部ではマンション価格の高騰が続き、10億円を超える物件に加え、100億円を超える物件も登場しています。こうした高額不動産を外国人投資家が売却して利益を得た場合、日本で税金は課されるのでしょうか。実は、かつての日米租税条約の下では、日本国内の不動産を保有する法人の株式を売却することで、日本での課税を回避できる余地がありました。米国の外国人不動産投資税法(FIRPTA)や日米租税条約の改正をたどりながら、非居住者による不動産譲渡益の課税関係と、今後の制度上の課題を解説します。

米国ではFIRPTAによって不動産譲渡益への課税を強化

米国では、外国人による不動産投資をめぐり、不動産の直接譲渡だけでなく、不動産を保有する法人の株式の譲渡についても課税を確保する必要性が認識されていました。

 

こうした問題に対応するため、米国は1980年に外国人不動産投資税法(FIRPTA:Foreign Investment in Real Property Tax Act)を制定しました。同法は、内国歳入法典第897条などに規定され、外国人による米国不動産の譲渡益に対する課税を強化するものです。

 

FIRPTAの下では、外国人が米国不動産を譲渡して得た利益は、原則として米国の事業と実質的に関連する所得として扱われ、米国で課税されます。また、一定の米国不動産保有法人の株式も、米国不動産に関する権益として課税対象となります。

 

さらに、外国人による米国不動産の譲渡については、譲受人が譲渡対価から税金を源泉徴収する仕組みが設けられています。これは、外国人が米国不動産を売却した際の課税を確実にするための措置です。

 

IRS(米国内国歳入庁)によると、米国不動産に関する権益の譲渡では、一般的な源泉徴収率は譲渡対価の15%です。2016年2月17日より前の譲渡については、原則として10%でした。ただし、買主が居住用として取得する場合には例外があり、譲渡対価が30万ドル以下であれば源泉徴収は不要、30万ドル超100万ドル以下であれば10%となります。

 

なお、この源泉徴収は最終的な税額そのものではありません。実際の譲渡益や適用税率などに基づき、納税申告書の提出を通じて税額を精算する仕組みです。

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