前回は、レバレッジが効く「掛け捨ての定期保険」を活用した相続対策について取り上げました。今回は、レバレッジが効く「終身保険」を活用した相続対策を見ていきます。

高齢になるほど「ふやす力」が減少する点に注意

定期保険にある「保険期間切れのリスク」がないものが終身保険です。人はいつかは死亡するわけですから、どこかで必ず死亡保険金を受け取れるのが終身保険です。

 

それでは具体的な事例を見ていきましょう。図表を見てください。下記の図表は50歳男性が被保険者として契約したときのイメージです。

 

【図表 期間が一生涯の終身保険を活用したレバレッジスキームのイメージ】

 

死亡保険金として1億円が設定されているのは、定期保険と同じですが、年間の保険料は先ほどの定期保険の倍以上の額の330万円となっています。

 

もしこの男性が1年目に亡くなったとしたら、330万円の保険料の支払いで1億円の保険金を死亡保険金受取人が得ることができるわけですから、投資額の約30.3倍もの金額を受け取れることになります。定期保険より倍率は下がっていますが、それでも大きなレバレッジ効果です。

 

ただし、80歳の時点で投じた保険料の累計が9900万円になってしまい、死亡保険金とほぼ同額となり、レバレッジ効果はほとんどなくなります。また90歳になると、累計の支払保険料が1億3200万円となるため、受け取れる死亡保険金よりも、支払う保険料のほうが多くなります。期間は一生涯といえども、高齢になればなるほど、「ふやす力」は失われてしまうということです。

 

定期保険と大きく違うのは、終身保険は完全な掛け捨てではないということです。途中で解約した場合の解約返戻金が高く設定されているため、90歳までに死亡事故の発生がなかったとしても、そこで保険を解約すれば、投資額の約62%、8184万円を取り戻すことが可能です。そうなると90歳時の損失は、5016万円となり、掛け捨ての定期保険で90歳満了を迎えてしまった場合と比べ、1000万円ほど損失額が少なくなります。

掛け捨ての定期保険に比べ、年間保険料は高額だが…

図表の下段の50歳女性の場合を見てみましょう。

 

1年目については、年間の保険料280万円に対して、死亡した場合に、死亡保険金受取人に1億円が支払われますので、投資額の約35.7倍もの金額を受け取れる形になります。ただし、掛け捨ての定期保険と比べると、女性の場合でも、年間保険料は3倍以上に膨れ上がっています。

 

90歳までに死亡事故が発生せず、保険を解約した場合には、投資額の約75%を取り戻すことが可能で、そうなると90歳時の損失額は2800万円に留まります。

本連載は、2016年9月16日発売の書籍『オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル』から抜粋したものです。
本原稿は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投信元本の利回り等を保証するものではございません。個別具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認ください。記載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人をいいます。

オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル

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幻冬舎ゴールドオンライン編集部

幻冬舎メディアコンサルティング

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