家計調査:労働力人口に含まれないのは、働く意思のない人
家計調査では、16歳以上の刑務所、精神病院、老人ホームなど施設に入っていない軍人以外の人口(非施設人口)を対象に聞き取り調査が行われます。なお、2025年10月は政府機関閉鎖の影響で聞き取り調査が実施できなかったため、同月の雇用統計の家計調査は発表されていません(事業所調査については、過去に遡ってデータ収集が行われ作成されています)。
家計調査における就業者は、調査週(12日を含む週)に「少なくとも1時間以上、給料や利益を得る目的で労働した者」と定義されます。一時的に休業していても、休暇、病欠、悪天候、ストライキ、研修など、職との正式な結びつきがある場合は就業者に含まれます。
失業者は、「就業していないが、過去4週間以内に職探しをしており、仕事が提供されれば即座に働くことが可能な者」として定義されます。就業者数と失業者数の合計が「労働力人口」です。失業者数を労働力人口で割ったものが「失業率」です。労働力人口が非施設人口に占める割合は「労働参加率」と呼ばれます。
労働力人口に含まれないのは、働く意思のない人です。雇用情勢が厳しくて職探しを諦める人が増えた場合には、(働く意思のある)失業者が減少し、労働参加率が低下することが起こります。逆に、雇用情勢が改善して職探しを再開する人が増えたときには、失業者が増加し、労働参加率は上昇します。このため、失業率の動向を評価するには、労働参加率の変化も併せて見る必要があります。
6種類の失業指標
米労働統計局(BLS)は、通常用いられる失業率(下記のU-3)のみでなく、6種類の失業指標を発表しています。
1.失業期間が15週以上の長期失業者の労働力人口に占める割合(U-1)
2.失職者、あるいは派遣など契約が終了した者の労働力人口に占める割合(U-2)
3.失業者が労働力人口に占める割合、失業率(U-3)
4.失業者と職探しの意欲を喪失した者の労働力人口に占める割合(U-4)
5.失業者と職探しを諦めた者に加え、その他の縁辺労働者(U-5)
6.失業者と職探しを諦めた者、その他の縁辺労働者に加え、経済的な理由でパートタイムを余儀なくされている者(不完全雇用率、U-6)
このなかでは、「失業者と職探しを諦めた者、その他の縁辺労働者に加え、経済的な理由でパートタイムを余儀なくされている者」を示す不完全雇用率(U-6)が重要です。たとえ失業率(U-3)に変化がなかったとしても、正社員として働くことを望みながらパートタイムに甘んじている人が増えているとするならば、雇用の「質」は悪化していることになるからです。
また、家計調査の就業者数が増加していたとしても、フルタイムではなくパートタイムや複数の職を持つ人が中心に増加しているならば、就労条件は厳しくなっている可能性があります。
このように、雇用統計は事業所調査と家計調査の双方を総合的に分析する必要があるのです。
安田佐和子
経済アナリスト
ストリート・インサイツ
代表取締役
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