「実家の前の道路、昔はもっと狭かったような…」父死去。都内の実家を継いだ息子が役所で直面した“想定外の真実”【土地家屋調査士が解説】

「実家の前の道路、昔はもっと狭かったような…」父死去。都内の実家を継いだ息子が役所で直面した“想定外の真実”【土地家屋調査士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

車がすれ違えないような細い道路に面した家を建て替える場合、避難経路や日当たりを確保するために「自分の土地を空けて家を後ろに下げるルール」が存在します。しかし、過去の経緯や役所の基準を知らないまま計画を進めると、「思っていた以上に使える土地が狭くなった」というトラブルに直面しかねません。土地の境界の専門家である土地家屋調査士・小川曜氏が、不動産取引や建て替え時に知っておきたい道路境界の仕組みを解説します。※プライバシーに配慮し、複数の事例を再構成して記事化しています。

セットバックすれば建築できるはずが…敷地が想定以上に削られる?

都内在住のEさんは、父親から実家を相続し、建て替えを検討していました。実家の前面道路は幅2.73mと狭く、建築基準法で定められた4mの幅員がありません。

 

しかしEさんは「セットバック(道路を後退させて道路幅を確保すること)」を行えば建築できることを知っていました。ところが、建て替えのために役所の窓⼝で確認したところ、「現地の現況の道路中⼼から2m」よりも後退しなければならないことが判明します。想定以上に敷地が削られることに不満を持ったEさんは、以前に現況測量を依頼した縁で、筆者のもとへ相談に訪れました。

 

そこで早速、セットバック部分を確認するための⼿続きである「狭隘(きょうあい)協議」を進めることになったのです。

 

「狭隘協議」とは?

建物を建てるためには、原則として「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という義務があります(建築基準法第43条)。

 

前⾯道路が4m未満であっても「みなし接道(『建築基準法第42条2項道路』『特定⾏政庁が指定したみなし道路』等ともいう)」であれば、セットバックを⾏うことで建築が可能です。

 

しかし、こうした細い道路は防災や通⾏の⾯で課題が多く、後退後の道路をどのように整備‧管理していくかが重要になります。その整備⽅法や、どこまでセットバックするかという後退ラインについて⾃治体と事前協議を⾏うのが「狭隘協議」です 。

 

狭隘協議では、後退ラインを決めるだけでなく、後退部分の道路整備(舗装や側溝の設置など)や、寄付の有無等についても協議対象となります。

 

なお、セットバックが必要だからといって必ず狭隘協議が求められるわけではなく、すべての⾃治体で導⼊されている制度ではありません。建物が密集している⾃治体(東京都23区をはじめとする都⼼部)で多く採⽤されている印象です。狭隘協議制度がない⾃治体の場合は、窓⼝で後退⽅法を確認したうえで、建築確認申請時や道路部分の寄付⼿続きの際に適正かどうか判断されます。

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※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている及び事例を合わせて記載している部分があります。

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