「国に引き取ってもらうのに72万円も払うの?」親が遺した“千葉県の畑500平方メートル”に〈相続土地国庫帰属制度〉を利用…〈税金での救済〉ではない現実と、法務局の厳格審査の壁

「国に引き取ってもらうのに72万円も払うの?」親が遺した“千葉県の畑500平方メートル”に〈相続土地国庫帰属制度〉を利用…〈税金での救済〉ではない現実と、法務局の厳格審査の壁
(※写真はイメージです/PIXTA)

地方や郊外を中心に、全国で急増する「売れない空き家」。そのまま放置していると、行政から「特定空き家」に指定されてしまうこともあり、固定資産税の優遇解除や損害賠償リスクに直面する時代において、相続負動産の処分は一刻を争う課題です。本記事では、高橋大樹氏による著書『あなたの実家、どうする? 知識ゼロでも絶対後悔しない! 損しない! 不動産相続の新・ルール』(WAVE出版)より、「売りたくても売れない空き家」の対処法を解説します。

土地神話の崩壊…売れない空き家、急増中

「土地は必ず売れる」「土地を持っていれば安心」という土地神話はもう過去のものになりました。実際、売りたくても売れない空き家が全国で急増しています。

 

私のところにも「山奥にある実家を相続したけれど、不動産会社に『お金を払ってくれれば引き取ります』と言われた」といった相談が増えています。

売れない空き家が続出する背景

売れない空き家が生まれる背景には、いくつかの要因があります。昭和の時代に「将来、開発されるから地価が急激に上がりますよ」「数年後に新幹線が通る計画があるので、今のうちに土地を買っておくとお得ですよ」といった触れ込みで売られた、いわゆる「原野商法」による土地が多くあります。また、地方の人口減少により、需要がない土地が増えていることも要因のひとつです。

 

2024年から相続登記が義務化されたため、それまで放置していた土地も相続せざるを得なくなったことで、この問題が顕在化しています。

そのまま放置すると「特定空き家」のリスクも

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売れない空き家をそのまま放置しておくと、行政から「特定空き家」に指定されるリスクがあります。特定空き家に指定されると、解体工事命令が出される可能性があり、従わない場合には行政が解体し、解体費用を請求されることも。

 

さらに、特定空き家に指定されると固定資産税の軽減措置がなくなり、固定資産税が最大で6倍になってしまいます。また、台風などで空き家の瓦が飛んで隣家を傷つけたり、人に当たったりした場合は、所有者が損害賠償責任を負うことになります。

 

このように空き家をそのまま放置しておいても、いいことは何もありません。どんどん朽ちていくだけでなく、最終的には子どもたちに負の遺産を残すことになってしまうのです。ここでは、空き家の解決法を3つご紹介したいと思います。

親から相続した売れない空き家の解決方法、3選

解決方法1.タダであげる(隣地、不動産会社)

最初に検討したいのが、お隣の土地の所有者や不動産会社に無償で譲渡する方法です。

 

お隣の方が土地を拡張したいと考えている場合があります。駐車場として活用したり、庭を広くしたりする目的で、隣接する土地を欲しがる方は意外に多いのです。直接交渉するのが難しい場合は、不動産会社を通じて打診してもらうこともできます。

 

解決方法2.相続土地国庫帰属制度を利用

2023年4月にスタートした、比較的新しい制度です。一定の要件を満たせば、土地を国に引き取ってもらえます。

 

ただし、この制度を利用するには厳しい要件があります。まず建物がない更地であることが必要です。そのほか、土壌汚染がないこと、境界が確定していることも条件となります。さらに担保権が設定されていないことや、通路として他人が利用していないことなども求められます。

 

また、費用も決して安くはありません。審査手数料として土地一筆(登記簿謄本に記載されているひとつの土地)あたり1万4000円がかかり、さらに負担金として10年分の土地管理費相当額(原則、一筆につき20万円ですが、土地の種類によっては土地面積に応じて負担金を算定する場合もあります)を支払う必要があります。

 

たとえば、千葉県の畑500平方メートルの場合、負担金は約72万円でした。「国に引き取ってもらうのに72万円も払うの?」と驚かれる方も多いのですが、この制度の趣旨は「国民の税金で困った土地を引き取る」ではなく、「所有者が責任を持って処分する」ことなのです。

 

申請の手順としては、まず法務局に事前相談をして要件確認を行います。次に登記事項証明書、測量図、境界確認書などの必要書類を準備し、申請書を提出します。その後約半年から1年の審査期間を経て、承認されれば負担金を納付して所有権が移転されるという流れになります。

 

この制度は創設されたばかりで、まだ実績が少ないのが現状です。申請しても必ず承認されるわけではなく、法務局での厳格な審査があります。

次ページ相続土地国庫帰属制度を検討後、最終手段として民間業者を頼る

※本連載は、髙橋大樹氏による著書『あなたの実家、どうする? 知識ゼロでも絶対後悔しない! 損しない! 不動産相続の新・ルール』(WAVE出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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髙橋 大樹

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