「これくらいなら」が積み重なって…孫のために財布を開く日々
「ばあば、これ欲しいんだ」
小学5年生の孫にスマートフォンの画面を見せられると、智子さん(仮名・71歳)はつい財布のひもが緩んでしまいます。
智子さんは6年前に夫を亡くし、現在は一人暮らし。年金は月約21万円で、預貯金は約1,400万円あります。住宅ローンを完済したマンションに暮らしており、生活に困っているわけではありません。
近くには40代の長女一家が住み、小学生と中学生の孫が2人います。月に1、2回ほど孫たちが遊びに来ると、昼食代を出し、帰りには1人2,000円ほどのお小遣いを渡します。
「毎回じゃないですよ。何か頑張ったとか、欲しいものがあると聞いたときだけです」
そう話す智子さんですが、誕生日には1万円ほどのプレゼント、クリスマスにも数千円から1万円程度。家族5人で外食すれば「たまには私が」と1万円以上を支払うこともありました。
そこに、予定外の出費も加わります。
ある日、長女から「上の子が部活を始めたんだけど、道具をそろえると結構かかるみたい」と聞きました。
頼まれたわけではありません。それでも智子さんは「じゃあ、少し足しにして」と2万円を渡しました。
別の日には、下の孫が習い事の発表会に出ると聞き、衣装代として1万円。「ばあば、ありがとう」と笑う孫を見ると、出したことを後悔する気持ちはありませんでした。
「2万円とか3万円なら、貯金もあるし大丈夫だと思っていました。孫の笑顔を見ると断れないというか、私も嬉しかったんです」
転機になったのは、通帳の残高を確認したときでした。
家電の買い替えや固定資産税、マンションの管理費なども重なった年で、想像していた以上に預貯金が減っていました。そこで1年間の支出を大まかに振り返ると、孫や長女一家に使ったお金だけで40万円を超えていました。
総務省『家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得が月11万8,465円に対し、消費支出は14万8,445円で、平均では月約3万円の不足となっています。また、消費支出のうち「交際費」は11.4%を占め、他世帯への贈答品やサービスへの支出もここに含まれます。
