「狭いほうが、むしろ楽だった」1Kで始まった新生活
4LDKから1Kですから、引っ越し前は「さすがに狭すぎるのでは」とも思ったそうです。しかし、実際に暮らしてみると印象は変わりました。
「広さは十分でしたね。何でも手の届くところにある。エアコンの効率もいい。全部が見渡せて掃除もしやすいし、防犯もこっちのほうが安全だと思ったくらい。町内会やゴミの当番もないし、気楽ですよ」
現在は庭の手入れも必要ありません。建物の大規模な修繕について、自分で業者を探して対応する必要もありません。何より、買い物や通院にも行きやすくなりました。
高齢者の住まいでは、住宅そのものの広さだけでなく、周辺の生活環境も重要です。内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の者のいる世帯では、単独世帯が増加傾向にあり、2023年には全体の約3割を占めています。
一人暮らしの高齢者が増えるなか、「家族で暮らすこと」を前提にした広い住まいから、自分ひとりが暮らしやすい住まいへ移ることも、一つの選択肢になっています。
武雄さんも、今では以前の家を懐かしく思うことはあっても、「戻りたい」とは思わないそうです。
「4LDKに住んでいたころは、狭い家に住むなんて考えられなかった。でも、1人になった今は、狭いほうがずっと楽なんです。家は広ければいい、というものでもないんですね」
老後の住まいを考えるとき、長年住んできた家を手放すことには迷いもあるでしょう。一方で、年齢を重ねれば、体力や家族構成、生活スタイルは変わります。
「今の家に住み続けること」が本当に自分にとって最適なのか。広さだけではなく、掃除や修繕、買い物や通院のしやすさまで含めて考えてみると、これまでとは違った住まいの選択肢が見えてくるかもしれません。
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