4LDKの戸建てが「広すぎる」と感じ始めた73歳夫婦
「洗濯物を持って階段を上がるのが、だんだん嫌になってきたんです」
そう話すのは、郊外の4LDKの戸建てで30年以上暮らしてきた美智子さん(仮名・73歳)です。74歳の夫と2人暮らしで、夫婦の年金は合わせて月約33万円。預貯金は約4,800万円あり、住宅ローンもすでに完済していました。
子ども2人が独立した後も、夫婦はその家で暮らし続けていました。1階にはLDKと和室、2階には寝室と子ども部屋があります。
ところが70代になるころから、生活する場所はほとんど1階だけになりました。
「掃除のために2階へ行って、『こんなに部屋はいらないね』と夫と話すことが増えました」
寝室は2階にありましたが、夜中にトイレへ行くときの階段も気になります。美智子さんは一度、洗濯物を抱えて階段を下りる途中で足を滑らせそうになりました。
さらに負担だったのが、家の外での生活です。最寄り駅までは徒歩20分ほど。スーパーへ行くにも車を使うことが多く、夫婦のどちらかが運転できなくなった後の生活が想像できませんでした。
「家はある。貯金もある。それなのに、ここで80歳になったときの生活を考えると、急に不便なことばかり目についたんです」
決定打になったのは、夫が庭木の剪定中に脚立から降りる際、バランスを崩したことでした。けがはありませんでしたが、美智子さんは「もう階段は上りたくありません。家の中でも外でも、上ったり下りたりする生活を減らしたい」と夫に話しました。
夫婦が選んだのは、電車で数駅離れた駅前に建つタワーマンションでした。駅から徒歩数分、スーパーやドラッグストア、クリニックも徒歩圏内です。
自宅は約3,600万円で売却。諸費用も考慮しながら、その代金と預貯金の一部を使い、約5,200万円の中古物件を購入しました。広さは約60平方メートルの2LDK。以前の家と比べれば、居住面積は大きく減りました。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上の人の住居形態は「持家(一戸建て)」が79.8%、「持家(分譲マンション等の集合住宅)」が3.2%で、8割以上が持家に暮らしています。また国は、高齢者の自立や介護に配慮した住宅の改修や、高齢者に適した住宅への住み替えを支援しています。
